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August 4, 2022 Vol. 387 No. 5

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早期パーキンソン病に対するシンパネマブの試験
Trial of Cinpanemab in Early Parkinson’s Disease

A.E. Lang and Others

背景

α-シヌクレインの凝集は,パーキンソン病の病因に重要な役割を果たしている.α-シヌクレインに結合するヒト由来モノクローナル抗体シンパネマブ(cinpanemab)は,パーキンソン病の疾患修飾治療として評価が行われている.

方 法

52 週間の多施設共同二重盲検第 2 相試験で,早期パーキンソン病患者を,プラセボ(対照)群,シンパネマブ 250 mg 群,1,250 mg 群,3,500 mg 群に 2:1:2:2 の割合で無作為に割り付け,4 週ごとに点滴静注した.その後は延長期間として,用量を盲検化し,実薬を最長で 112 週目まで投与した.主要エンドポイントは,「パーキンソン病統一スケール・運動障害疾患学会改訂版(MDS-UPDRS)」の総スコア(0~236 で,スコアが高いほど機能が不良であることを示す)の,ベースラインから 52 週の時点,および 72 週の時点までの変化量とした.副次的エンドポイントは,MDSUPDRS 下位尺度スコア,ドパミントランスポーター単一光子放射断層撮影(DaT-SPECT)で評価した線条体結合などとした.

結 果

357 例が登録され,100 例が対照群,55 例がシンパネマブ 250 mg 群,102 例が 1,250 mg 群,100 例が 3,500 mg 群に割り付けられた.72 週の時点での中間解析後,有効性の欠如により試験は中止された.MDS-UPDRS スコアの 52 週までの変化量は,対照群で 10.8 ポイント,250 mg 群で 10.5 ポイント,1,250 mg 群で 11.3 ポイント,3,500 mg 群で 10.9 ポイントであった(対照群との差の補正後の平均は,それぞれ -0.3 ポイント [95%信頼区間 {CI} -4.9~4.3],P=0.90;0.5 ポイント [95% CI -3.3~4.3],P=0.80;0.1 ポイント [95% CI -3.8~4.0],P=0.97).72 週の時点で,72 週までシンパネマブの投与を受けた患者と,52 週からシンパネマブが開始された患者の統合群との差の補正後の平均は,250 mg で -0.9 ポイント(95% CI -5.6~3.8),1,250 mg で 0.6 ポイント(95% CI -3.3~4.4),3,500 mg で -0.8 ポイント(95% CI -4.6~3.0)であった.副次的エンドポイントの結果は,主要エンドポイントの結果と同様であった.52 週の時点での DaT-SPECT 画像には,対照群とすべてのシンパネマブ群とのあいだに差は認められなかった.シンパネマブ群でとくに頻度の高かった有害事象は,頭痛,鼻咽頭炎,転倒であった.

結 論

早期パーキンソン病患者に対するシンパネマブの,52 週の時点での病勢進行の臨床指標および DaT-SPECT 画像の変化に対する効果には,プラセボとの差は認められなかった.(バイオジェン社から研究助成を受けた.SPARK 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03318523)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 408 - 20. )