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April 25, 2024 Vol. 390 No. 16

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CD7 CAR-T 細胞療法と,移植片対宿主病予防法を用いない同種造血幹細胞移植の逐次施行
Sequential CD7 CAR T-Cell Therapy and Allogeneic HSCT without GVHD Prophylaxis

Y. Hu and Others

背景

再発または難治性の造血器腫瘍患者の予後は不良である.同種造血幹細胞移植(HSCT)への橋渡しとしてのキメラ抗原受容体(CAR)T 細胞療法は,腫瘍を長期にわたり排除できる可能性がある.しかし,HSCT 前の骨髄破壊と移植片対宿主病(GVHD)予防薬には毒性があり,残存する CAR-T 細胞が根絶され抗腫瘍効果が損なわれる可能性がある.CAR-T 細胞療法と同種 HSCT を統合することで,CAR-T 細胞の機能を維持し,腫瘍制御を向上させられるかは明らかでない.

方 法

再発または難治性の,CD7 陽性の白血病またはリンパ腫患者 10 例で,CD7 CAR-T 細胞療法とハプロタイプ一致 HSCT を逐次的に行う,新規の「オールインワン」戦略を検討した.CAR-T 細胞療法により血液学的回復が不完全な完全寛解にいたった患者に,薬剤による骨髄破壊や GVHD 予防薬の投与を行わずに,ハプロタイプ一致 HSCT を行った.毒性と有効性を注意深く観察した.

結 果

CAR-T 細胞療法後,10 例全例が血液学的回復が不完全な完全寛解にいたった.全例にグレード 4 の汎血球減少が認められた.ハプロタイプ一致 HSCT 後,1 例が 13 日目に敗血症性ショックと脳炎により死亡し,8 例に完全ドナーキメリズムが認められ,1 例に自己造血回復が認められた.3 例がグレード 2 の HSCT 関連急性 GVHD を発症した.CAR-T 細胞療法後の追跡調査期間の中央値は 15.1 ヵ月(範囲 3.1~24.0)であった.6 例が微小残存病変陰性の完全寛解を維持し,2 例が CD7 陰性白血病を再発し,1 例が 3.7 ヵ月の時点で敗血症性ショックにより死亡した.1 年推定全生存率は 68%(95%信頼区間 [CI] 43~100),1 年推定無病生存率は 54%(95% CI 29~100)であった.

結 論

今回の知見は,CD7 CAR-T 細胞療法とハプロタイプ一致 HSCT の逐次施行が,安全で有効であり,寛解をもたらし,有害事象は重篤であるが可逆的であることを示唆している.この戦略は,従来の同種 HSCT が適応とならない CD7 陽性腫瘍患者に対して,実行可能な手法を提供する.(中国国家自然科学基金委員会,浙江省科学技術庁重要プロジェクトから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04599556,NCT04538599)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 1467 - 80. )