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May 1, 2025 Vol. 392 No. 17

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好酸球性慢性閉塞性肺疾患の増悪予防に用いるメポリズマブ
Mepolizumab to Prevent Exacerbations of COPD with an Eosinophilic Phenotype

F.C. Sciurba and Others

背景

インターロイキン-5 は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の 20~40%に存在する,好酸球性炎症の中心的役割を果たすサイトカインである.メポリズマブは,インターロイキン-5 を標的とするヒト化モノクローナル抗体である.

方 法

第 3 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,COPD を有し,3 剤併用吸入療法を受けており,増悪歴があり,血中好酸球数 300/μL 以上の患者を,メポリズマブ(100 mg)を 4 週ごとに 52~104 週間皮下投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は,中等度または重度の増悪の年間発生率とした.副次的評価項目は,中等度または重度の増悪(生存時間 [time-to-first-event] 解析で評価),健康関連 QOL および症状の指標,救急部受診または入院,あるいはその両方にいたった増悪の年間発生率とし,多重性を制御するため階層的に検定した.

結 果

無作為化され,投与を 1 回以上受けたのは 804 例で,内訳はメポリズマブ群 403 例,プラセボ群 401 例であった.中等度または重度の増悪の年間発生率は,メポリズマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に低かった(0.80 件 対 1.01 件/年,率比 0.79,95%信頼区間 [CI] 0.66~0.94,P=0.01).初回の中等度または重度の増悪までの期間は,メポリズマブ群のほうがプラセボ群よりも長かった(初回の中等度または重度の増悪までの期間の Kaplan–Meier 法による中央値 419 日 対 321 日,ハザード比 0.77,95% CI 0.64~0.93,P=0.009).健康関連 QOL の指標,症状の指標に群間で有意差は認められなかったため,階層的検定における次の副次的評価項目に関する統計的推定は行わなかった.有害事象の発現率はメポリズマブ群とプラセボ群とで同程度であった.

結 論

好酸球性 COPD 患者において,基礎治療の 3 剤併用吸入療法にメポリズマブを追加した場合,中等度または重度の増悪の年間発生率はプラセボを投与した場合よりも低かった.(GSK 社から研究助成を受けた.MATINEE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号NCT04133909)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 1710 - 20. )