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May 29, 2025 Vol. 392 No. 20

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高リスクの 2 型糖尿病における経口セマグルチドと心血管転帰
Oral Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in High-Risk Type 2 Diabetes

D.K. McGuire and Others

背景

グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬である経口セマグルチドの心血管安全性は,2 型糖尿病を有する,心血管リスクの高い患者において確立されている.アテローム動脈硬化性心血管疾患または慢性腎臓病,あるいはその両方を有する 2 型糖尿病患者の心血管保護における有効性の評価が必要である.

方 法

二重盲検プラセボ対照イベント主導型優越性試験で,50 歳以上で,2 型糖尿病を有し,糖化ヘモグロビン値 6.5~10.0%で,アテローム動脈硬化性心血管疾患または慢性腎臓病,あるいはその両方を有する患者を,標準治療に加えて,経口セマグルチド(最大 14 mg)を 1 日 1 回投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は主要有害心血管イベント(心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の複合)とし,生存時間(time-to-first-event)解析で評価した.検証的副次的転帰は,主要腎臓病イベント(5 項目から成る複合転帰)などとした.

結 果

無作為化された 9,650 例における追跡期間の平均値(±SD)は 47.5±10.9 ヵ月であり,中央値は 49.5 ヵ月であった.主要転帰イベントは,経口セマグルチド群では 4,825 例中 579 例(12.0%,発生率 3.1 件/100 人年)に発生したのに対し,プラセボ群では 4,825 例中 668 例(13.8%,発生率 3.7 件/100 人年)に発生した(ハザード比 0.86,95%信頼区間 0.77~0.96,P=0.006).検証的副次的転帰の結果には,群間で有意差は認められなかった.重篤な有害事象の発現率は,経口セマグルチド群 47.9%,プラセボ群 50.3%であり,胃腸障害の発現率はそれぞれ 5.0%と 4.4%であった.

結 論

2 型糖尿病を有し,アテローム動脈硬化性心血管疾患または慢性腎臓病,あるいはその両方を有する患者において,経口セマグルチドを使用した場合,主要有害心血管イベントのリスクがプラセボを使用した場合よりも有意に低いことと関連し,重篤な有害事象の発現率の上昇はみられなかった.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.SOUL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03914326)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 2001 - 12. )