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September 25, 2025 Vol. 393 No. 12

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左室駆出率が低下した心不全患者に対するジギトキシン
Digitoxin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction

U. Bavendiek and Others

背景

左室駆出率が低下した心不全患者における強心配糖体ジギトキシン(digitoxin)の治療効果は確立されていない.

方 法

国際共同二重盲検プラセボ対照試験で,左室駆出率 40%以下でニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類 III 度もしくは IV 度,または左室駆出率 30%以下で NYHA 機能分類 II 度の慢性心不全患者を,ガイドラインに基づく内科的治療に加えて,ジギトキシン(開始用量は 0.07 mg とし,1 日 1 回)を投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は全死因死亡または心不全悪化による入院の複合とし,いずれか先に発生したほうとした.

結 果

無作為化された 1,240 例のうち,1,212 例が修正 intention-to-treat 集団への組入れ基準を満たし,内訳はジギトキシン群 613 例,プラセボ群 599 例であった.中央値で 36 ヵ月の追跡期間中,主要転帰イベントは,ジギトキシン群では 242 例(39.5%),プラセボ群では 264 例(44.1%)に発生した(死亡または心不全悪化による初回入院のハザード比 0.82,95%信頼区間 [CI] 0.69~0.98,P=0.03).全死因死亡は,ジギトキシン群では 167 例(27.2%),プラセボ群では 177 例(29.5%)に発生した(ハザード比 0.86,95% CI 0.69~1.07).心不全悪化による初回入院は,ジギトキシン群では 172 例(28.1%),プラセボ群では 182 例(30.4%)に発生した(ハザード比 0.85,95% CI 0.69~1.05).重篤な有害事象は,ジギトキシン群では 29 例(4.7%),プラセボ群では 17 例(2.8%)に 1 件以上発現した.

結 論

左室駆出率が低下した心不全に対し,ガイドラインに基づく内科的治療を受けている患者にジギトキシンを投与した場合,プラセボを投与した場合と比較して,全死因死亡または心不全悪化による入院の複合リスクが低くなった.(ドイツ連邦研究・技術・宇宙省ほかから研究助成を受けた.DIGIT-HF 試験:EudraCT 登録番号 2013-005326-38)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1155 - 65. )