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September 25, 2025 Vol. 393 No. 12

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誘因のある静脈血栓塞栓症の長期治療に用いるアピキサバン
Apixaban for Extended Treatment of Provoked Venous Thromboembolism

G. Piazza and Others

背景

一過性の誘因(手術,外傷,不動など)により静脈血栓塞栓症(VTE)を発症した患者に,VTE 再発の永続的危険因子が併存する場合の,抗凝固療法の適切な期間は明らかにされていない.

方 法

単一施設二重盲検無作為化試験で,永続的危険因子を 1 つ以上有し,一過性の誘因発生後に VTE を発症し,3 ヵ月以上の抗凝固療法を完了した成人を,経口アピキサバン(2.5 mg を 1 日 2 回)を 12 ヵ月間投与する群と,プラセボを投与する群に割り付けた.主要有効性転帰は症候性 VTE の初回再発とした.主要安全性転帰は,国際血栓止血学会(ISTH)基準の大出血の初回エピソードとした.

結 果

600 例が無作為化された(平均年齢 59.5 歳,女性 57.0%,非白人 19.2%).試験集団で確認された誘因と永続的危険因子は多様であった.症候性 VTE の再発は,アピキサバン群では 300 例中 4 例(1.3%),プラセボ群では 300 例中 30 例(10.0%)に生じた(ハザード比 0.13,95%信頼区間 [CI] 0.04~0.36,P<0.001).大出血は,アピキサバン群では 1 例に発生したが,プラセボ群では発生しなかった.臨床的に重要な非大出血は,アピキサバン群では 294 例中 14 例(4.8%),プラセボ群では 294 例中 5 例(1.7%)に発生した(ハザード比 2.68,95% CI 0.96~7.43,P=0.06).アピキサバン群の 1 例とプラセボ群の 3 例が死亡したが,心血管系の原因または出血性の原因のものはなかった.非出血性の非致死的有害事象は各群 6 例(2.0%)に発現した.

結 論

一過性の誘因により VTE を発症し,再発の永続的危険因子を有する患者に対して,アピキサバンによる低強度療法を 12 ヵ月間行った場合,プラセボと比較して症候性 VTE の再発リスクは低くなり,大出血のリスクは低かった.(ブリストル・マイヤーズスクイブ–ファイザーアライアンスから研究助成を受けた.HI-PRO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04168203)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1166 - 76. )