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October 2, 2025 Vol. 393 No. 13

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胃腸炎を伴う重度急性栄養不良に対する静脈輸液
Intravenous Rehydration for Severe Acute Malnutrition with Gastroenteritis

K. Maitland and Others

背景

重度急性栄養不良児に対して,静脈輸液療法は行わないよう国際的に勧告されている.理由は体液過剰の懸念があるためであるが,これを裏付けるエビデンスは少ない.これに関連し,現時点では死亡率が高いため,静脈輸液戦略を採用することで転帰が改善する可能性がある.

方 法

アフリカの 4 ヵ国で,要因デザイン非盲検優越性試験を行った.生後 6 ヵ月~12 歳の胃腸炎と脱水を伴う重度急性栄養不良児を,経口補水を行い,ショックに対しては静脈内ボーラス投与を行う戦略,乳酸リンゲル液(100 mL/kg 体重)を 3~6 時間かけて急速静脈内投与し,ショックに対してはボーラス投与を行う戦略,乳酸リンゲル液を 8 時間かけて緩徐静脈内投与し,ボーラス投与は行わない戦略のいずれかに,2:1:1 の割合で無作為化した.主要評価項目は 96 時間の時点での死亡とした.

結 果

272 例が無作為化され,138 例が経口戦略群,67 例が急速静脈戦略群,67 例が緩徐静脈戦略群に割り付けられた.参加者は 28 日間追跡された.経口補水のために経鼻胃管が使用されたのは,経口戦略群では 135 例中 126 例(93%),静脈戦略群では 126 例中 82 例(65%)であった.入院時に静脈内ボーラス投与が行われたのは,経口戦略群では 12 例(9%),急速静脈戦略群では 7 例(10%),緩徐静脈戦略群では 0 例であった.96 時間の時点で,経口戦略群の 11 例(8%)と,静脈戦略群の 9 例(7%)(急速群 5 例,緩徐群 4 例)が死亡していた(リスク比 1.02,95%信頼区間 [CI] 0.41~2.52,P=0.69).28 日の時点で,経口戦略群の 17 例(12%)と,静脈戦略群の 14 例(10%)が死亡していた(ハザード比 0.85,95% CI 0.41~1.78).重篤な有害事象は,経口戦略群の 32 例(23%),急速静脈戦略群の 14 例(21%),緩徐静脈戦略群の 10 例(15%)に発現した.肺水腫,心不全,体液過剰の所見は認められなかった.

結 論

胃腸炎を伴う重度急性栄養不良児において,経口補水戦略と静脈輸液戦略とのあいだで,96 時間の時点での死亡率に関して,差のエビデンスは認められなかった.(共同グローバルヘルス試験計画ほかから研究助成を受けた.GASTROSAM 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN76149273)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1257 - 68. )