October 2, 2025 Vol. 393 No. 13
医用画像検査と小児・思春期児における造血器腫瘍のリスク
Medical Imaging and Pediatric and Adolescent Hematologic Cancer Risk
R. Smith-Bindman and Others
小児および思春期児において,医用画像検査による放射線誘発造血器腫瘍のリスクを評価することは,画像検査に際し,十分な情報に基づく意思決定を支援する可能性がある.
米国の 6 つの医療保険組合とカナダのオンタリオ州で 1996~2016 年に出生した小児 3,724,623 人の後ろ向きコホートを,次のいずれかが最初に発生するまで追跡した:がんまたは良性腫瘍の診断,死亡,医療保険の終了,21 歳に到達,2017 年 12 月 31 日に到達.医用画像検査による活性骨髄への放射線量を定量した.造血器腫瘍と累積放射線被曝量(曝露なしとの比較)との関連を,6 ヵ月のラグ,連続時間ハザードモデルを用いて推定した.
35,715,325 人年の追跡期間中(平均 10.1 年/人),造血器腫瘍は 2,961 例で診断された.大部分がリンパ系腫瘍(2,349 例 [79.3%])であり, 次いで骨髄系腫瘍または急性白血病(460 例 [15.5%]),組織球・樹状細胞腫瘍(129 例 [4.4%])であった.1 mGy 以上被曝した小児における平均(±SD)被曝量は,全体では 14.0±23.1 mGy であり(比較として,頭部 CT スキャン 1 回あたりの被曝量 13.7 mGy),造血器腫瘍の小児では 24.5±36.4 mGy であった.がんリスクは累積線量とともに増加し,相対リスク(曝露なしとの比較)は,累積線量 1 mGy 以上 5 mGy 未満で 1.41(95%信頼区間 [CI] 1.11~1.78),15 mGy 以上 20 mGy 未満で 1.82(95% CI 1.33~2.43),50 mGy 以上 100 mGy 未満で 3.59(95% CI 2.22~5.44)であった.骨髄への累積線量は,すべての造血器腫瘍のリスク上昇(100 mGy あたりの超過相対リスク 2.54 [95% CI 1.70~3.51,P<0.001],30 mGy 対 0 mGy の相対リスク 1.76 [95% CI 1.51~2.05]),および腫瘍の大部分のサブタイプのリスク上昇と関連した.30 mGy 以上(平均 57 mGy)被曝した小児における,21 歳までの造血器腫瘍の超過累積発生率は 10,000 人あたり 25.6 例であった.このコホートでは,造血器腫瘍の 10.1%(95% CI 5.8~14.2)には,医用画像検査による放射線被曝が寄与した可能性があると推定され,CT などの,高線量の医用画像検査によるリスクがより高かった.
この研究は,医用画像検査による放射線被曝と,小児および思春期児における造血器腫瘍のリスクのわずかではあるが有意な上昇との関連を示唆している.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.)