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October 2, 2025 Vol. 393 No. 13

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南アフリカ農村部における高血圧の在宅でのケア
Home-Based Care for Hypertension in Rural South Africa

M.J. Siedner and Others

背景

コントロール不良の高血圧は,世界中,とくに資源の乏しい環境において頻度の高い問題である.

方 法

南アフリカにおいて,高血圧の在宅でのケアモデルの非盲検無作為化比較試験を行った.高血圧の成人を,患者による血圧のモニタリング,データ収集と薬剤配達のためのコミュニティヘルスワーカー(CHW)による家庭訪問,モバイルアプリケーションを利用した遠隔の看護師主導の意思決定で構成される在宅ケアを受ける群(CHW 群)と,これらの介入に加えて,測定値を自動送信する血圧計を使用する,強化在宅ケアを受ける群(強化 CHW 群),診療所で管理する標準ケアを受ける群(標準ケア群)に割り付けた.主要転帰は 6 ヵ月の時点での収縮期血圧とした.副次的転帰は,12 ヵ月の時点での収縮期血圧と,6 ヵ月および 12 ヵ月の時点での血圧コントロールとした.安全性転帰は有害事象,死亡,ケアの継続などとした.

結 果

774 例が無作為化された.平均年齢は 62 歳で,参加者の 76.0%が女性であり,13.6%が糖尿病を有し,46.5%がヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染していた.6 ヵ月の時点での平均収縮期血圧は,CHW 群のほうが標準ケア群よりも低く(差 -7.9 mmHg,95%信頼区間 [CI] -10.5~-5.3,P<0.001),強化 CHW 群もまた,標準ケア群よりも低かった(差 -9.1 mmHg,95% CI -11.7~-6.4,P<0.001).6 ヵ月の時点で血圧がコントロールされていた参加者の割合は,標準ケア群で 57.6%であったのに対し,CHW 群では 76.9%(相対リスク 1.33,95% CI 1.18~1.51),強化 CHW 群では 82.8%(相対リスク 1.44,95% CI 1.28~1.62)であった.在宅でのケアによる収縮期血圧および血圧コントロールの改善は,12 ヵ月の時点でも持続していると思われた.参加者の 2.7%に重度の有害事象が発現し,1.0%が死亡した.これらの割合は 3 群で同程度であった.ケアの継続は,CHW 群および強化 CHW 群の参加者の 95%超で観察された.

結 論

南アフリカにおいて,高血圧の在宅でのケアにより,6 ヵ月の時点での平均収縮期血圧が,標準的な診療所でのケアよりも有意に低くなった.(米国国立衛生研究所ほかから支援を受けた.IMPACT-BP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05492955,South African National Clinical Trials Register 番号 DOH-27-112022-4895)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 1304 - 14. )