October 2, 2025 Vol. 393 No. 13
健康な乳児の RS ウイルス疾患予防に用いるクレスロビマブ
Clesrovimab for Prevention of RSV Disease in Healthy Infants
H.J. Zar and Others
クレスロビマブ(clesrovimab)は,現在臨床試験中の,RS ウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)融合蛋白の部位 IV に対する長時間作用型モノクローナル抗体である.健康な乳児における安全性と有効性に関するデータが必要である.
RSV 流行期をはじめて迎える健康な早産児と正期産児を,クレスロビマブ 105 mg を 1 回筋肉内投与する群とプラセボを投与する群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性評価項目は,注射後 150 日までの,受診にいたった RSV 関連下気道感染症(下気道感染症または疾患重症度の指標を 1 つ以上有する)とした.同じ期間中(150 日まで)の RSV 関連入院を,重要な副次的有効性評価項目とした.
3,614 人が注射を受けた.内訳はクレスロビマブ 2,412 人,プラセボ 1,202 人であった.注射後 150 日までの,受診にいたった RSV 関連下気道感染症は,クレスロビマブ群では 2,398 人中 60 人(5 ヵ月間の発生率 2.6%),プラセボ群では 1,201 人中 74 人(5 ヵ月間の発生率 6.5%)に発生し,有効率は 60.4%(95%信頼区間 [CI] 44.1~71.9,P<0.001)であった.150 日以内の RSV 関連入院は,クレスロビマブ群では 2,398 人中 9 人,プラセボ群では 1,201 人中 28 人で報告され,有効率は 84.2%(95% CI 66.6~92.6,P<0.001)であった.重篤な有害事象は,クレスロビマブ群では 2,409 人中 278 人(11.5%),プラセボ群では 1,202 人中 149 人(12.4%)で報告された.
健康な早産児と正期産児において,クレスロビマブの単回投与は,受診にいたった RSV 関連下気道感染症の発生率と RSV 関連入院の発生率を減少させ,安全性プロファイルはプラセボと同様であった.(メルク シャープ アンド ドーム社から研究助成を受けた.CLEVER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04767373)