October 9, 2025 Vol. 393 No. 14
マラリア予防のためのペルメトリンで処理したベビーラップ
Permethrin-Treated Baby Wraps for the Prevention of Malaria
R.M. Boyce and Others
サハラ以南のアフリカでは,マラリアは依然として小児死亡の主な原因である.母親が子どもを布製のベビーラップを使っておんぶするという伝統的習慣を利用して,ベビーラップに対する防虫剤処理がマラリアに対する防護層となるかを評価した.
ウガンダで行った二重盲検無作為化プラセボ対照試験で,生後 6~18 ヵ月の児のいる成人女性を登録した.母子ペアを,ペルメトリン(permethrin)で処理したベビーラップ(介入群)と,偽処理を行ったベビーラップ(対照群)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.ラップには 4 週ごとに繰り返し処理を行った.参加者全員に,長期間持続する殺虫剤処理をピレスロイドのみで行った新しい蚊帳を提供した.参加者は,試験実施診療所を 2 週ごとに 24 週間受診し,児に発熱性疾患が発生した場合は予定外受診をした.主要転帰は児の臨床的マラリアとし,発熱があり,マラリア迅速診断検査で陽性が確認されることと定義した.
2022 年 6 月~2024 年 4 月に,母子ペア 419 組がスクリーニングを受け,400 組が無作為化された.200 組が介入群,200 組が対照群に割り付けられた.診療所の受診率は高く(予定された 5,200 件のうち 5,194 件 [99.9%]),追跡不能例はなかった.臨床的マラリアの発生率は,介入群で 0.73 例/100 人週(95%信頼区間 [CI] 0.51~1.02),対照群で 2.14 例/100 人週(95% CI 1.73~2.62)であった(発生率比 0.34,95% CI 0.23~0.51,P<0.001).介入群では,皮疹の報告頻度が対照群よりも高かった(参加者の 8.5% 対 6.0%).
蚊帳にアクセスすることのできた母子ペアにおいて,母親がペルメトリンで処理したベビーラップを使用することにより,児における臨床的マラリアの発生率が有意に低下した.(ドリス・デューク財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05391230)