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July 17, 2025 Vol. 393 No. 3

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肺サルコイドーシスの一次治療におけるプレドニゾンとメトトレキサートとの比較
First-Line Treatment of Pulmonary Sarcoidosis with Prednisone or Methotrexate

V. Kahlmann and Others

背景

肺サルコイドーシスの一次治療には,現在プレドニゾン(prednisone)が推奨されているが,さまざまな副作用を伴う.二次治療として推奨されているメトトレキサートは,プレドニゾンよりも副作用は少ないものの,作用の発現が遅いと考えられる.肺サルコイドーシスの一次治療としてのメトトレキサートの有効性と副作用プロファイルを,プレドニゾンと比較したデータが必要である.

方 法

治療歴のない肺サルコイドーシス患者を対象とした多施設共同非盲検非劣性試験で,患者を,事前に規定した治療スケジュールでプレドニゾンを投与する群と,メトトレキサートを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は努力肺活量(FVC)の%予測値のベースラインから 24 週目までの平均変化量とし,反復測定データの混合モデルを用いて推定した.主要評価項目の非劣性マージンは 5 パーセントポイントとした.

結 果

138 例が無作為化され,70 例がプレドニゾン群,68 例がメトトレキサート群に割り付けられた.FVC%予測値のベースラインから 24 週目までの未補正の平均変化量は,プレドニゾン群では 6.75 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] 4.50~8.99),メトトレキサート群では 6.11 パーセントポイント(95% CI 3.72~8.50)であった.メトトレキサートは,主要評価項目に関して,プレドニゾンに対して非劣性であり,補正後の群間差は -1.17 パーセントポイント(95% CI -4.27~1.93)であった.有害事象の発現割合は 2 群で同程度であった.プレドニゾン群でとくに頻度の高かった有害事象は体重増加,不眠,食欲亢進であり,メトトレキサート群でとくに頻度の高かった有害事象は悪心,倦怠感,肝機能検査(種類を問わず)の異常であった.

結 論

肺サルコイドーシス患者において,メトトレキサートによる初期治療は,FVC%予測値のベースラインから 24 週目までの変化量に関して,プレドニゾンによる初期治療に対して非劣性であった.メトトレキサートとプレドニゾンとの副作用プロファイルの違いは,適切な治療法に関して,医療提供者と患者が共同意思決定を行う際の情報源となる可能性がある.(オランダ肺財団から研究助成を受けた.PREDMETH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04314193)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 231 - 42. )