新たに診断された多発性骨髄腫に対する測定可能残存病変に基づく治療
Measurable Residual Disease–Guided Therapy in Newly Diagnosed Myeloma
A. Perrot and Others
新たに診断された多発性骨髄腫では,測定可能残存病変(MRD)は主要な予後因子である.自家造血幹細胞移植(ASCT)適応患者を対象に MRD に基づく地固め療法戦略を評価することは,有用である可能性がある.
第 3 相試験で,新たに多発性骨髄腫と診断され,移植の適応があり,イサツキシマブ+カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(Isa-KRd)による導入療法を完了した患者を,MRD の状態に基づく地固め療法を行う群に無作為に割り付けた.感度 10-5 で MRD 陰性(次世代シーケンシングによる評価で,正常細胞 100,000 個あたり癌細胞 1 個未満)の患者を,ASCT 施行後に Isa-KRd を 2 サイクル投与する群(ASCT 群)と,Isa-KRd を 6 サイクル投与する群(Isa-KRd 群)に割り付けた.感度 10-5 で MRD 陽性の患者を,タンデム ASCT(短期間に ASCT を 2 回施行)を行う群(タンデム ASCT 群)と,ASCT 施行後に Isa-KRd を 2 サイクル投与する群(シングル ASCT 群)に割り付けた.主要評価項目は,維持療法前に感度 10-6 で MRD 陰性状態であることとした.
導入療法後に感度 10-5 で MRD 陰性であった 485 例のうち,維持療法前に感度 10-6 で MRD 陰性状態であった患者の割合は,ASCT 群 86%,Isa-KRd 群 84%であった(補正後の相対リスク 1.02,95%信頼区間 [CI] 0.95~1.10,P=0.64).導入療法後に感度 10-5 で MRD 陽性であった 233 例のうち,維持療法前に感度 10-6 で MRD 陰性状態であった患者の割合は,タンデム ASCT 群 32%,シングル ASCT 群 40%であった(補正後の相対リスク 0.82,95% CI 0.58~1.15,P=0.31).タンデム ASCT 群の 15%は 2 回目の ASCT を受けなかった.地固め療法中に疾患進行が 5 例,疾患進行に関連しない死亡が 2 例あったが,これらは Isa-KRd 群またはタンデム ASCT 群に発生した.新たな安全性シグナルは認められなかった.追跡期間の中央値は,ASCT 群と Isa-KRd 群で 16.8 ヵ月,タンデム ASCT 群とシングル ASCT 群で 16.3 ヵ月であった.
導入療法後に感度 10-5 で MRD 陰性であった患者のうち,ASCT 群は Isa-KRd 群と比較して,維持療法前に感度 10-6 で MRD 陰性状態であった患者の割合は有意に高くはなかった.導入療法後に感度 10-5 で MRD 陽性であった患者のうち,タンデム ASCT 群はシングル ASCT 群と比較して,維持療法前に感度 10-6 で MRD 陰性状態であった患者の割合は有意に高くはなかった.(仏語圏多発性骨髄腫研究グループほかから研究助成を受けた.MIDAS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04934475)