心血管リスクの高い患者におけるオビセトラピブの安全性と有効性
Safety and Efficacy of Obicetrapib in Patients at High Cardiovascular Risk
S.J. Nicholls and Others
オビセトラピブ(obicetrapib)は,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値を低下させる,高度に選択的なコレステリルエステル転送蛋白阻害薬である.心血管イベントのリスクが高い患者におけるオビセトラピブの有効性と安全性の特徴は,十分に明らかにされていない.
ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症,またはアテローム動脈硬化性心血管疾患の既往を有し,最大耐用量の脂質低下療法を受けている患者を対象に,国際共同無作為化プラセボ対照試験を行った.LDL コレステロール値が 100 mg/dL 以上または非高比重リポ蛋白(non-HDL)コレステロール値が 130 mg/dL 以上の患者と,LDL コレステロール値が 55~100 mg/dL または non-HDL コレステロール値が 85~130 mg/dL で,さらに心血管危険因子を 1 つ以上有する患者を,組入れに適格とした.患者を,オビセトラピブ 10 mg を 1 日 1 回,365 日間投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,LDL コレステロール値のベースラインから 84 日目までの変化率とした.
2,530 例が無作為化され,1,686 例がオビセトラピブ群,844 例がプラセボ群に割り付けられた.平均年齢は 65 歳で,34%が女性であり,ベースライン時の LDL コレステロール値の平均は 98 mg/dL であった.LDL コレステロール値のベースラインから 84 日目までの変化率の最小二乗平均は,オビセトラピブ群では -29.9%(95%信頼区間 [CI] -32.1~-27.8)であったのに対し,プラセボ群では 2.7%(95% CI -0.4~5.8)であり,群間差は -32.6 パーセントポイント(95% CI -35.8~-29.5,P<0.001)であった.有害事象の発現率は 2 群で同程度と思われた.
アテローム動脈硬化性心血管疾患またはヘテロ接合性家族性高コレステロール血症を有し,最大耐用量の脂質低下療法を受けている,心血管イベントのリスクが高い患者において,オビセトラピブは,LDL コレステロール値を 29.9%低下させた.(ニューアムステルダム・ファーマ社から研究助成を受けた.BROADWAY 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05142722)