局所進行頭頸部癌に対するペムブロリズマブによる術前・術後補助療法
Neoadjuvant and Adjuvant Pembrolizumab in Locally Advanced Head and Neck Cancer
R. Uppaluri and Others
局所進行頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)の標準治療は手術と術後補助療法である.周術期のペムブロリズマブ投与を追加することの利益は明らかでない.
第 3 相非盲検試験で,局所進行 HNSCC を有する参加者を,標準治療に加えて,ペムブロリズマブを術前に 2 サイクル,術後に 15 サイクル(いずれも 200 mg を 3 週に 1 回)投与する群(ペムブロリズマブ群)と,標準治療のみを行う群(対照群)に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.標準治療は,手術と,シスプラチン同時併用または非併用の術後放射線療法であった.主要評価項目は無イベント生存とし,プログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)陽性腫瘍を有する複合発現スコア(CPS)が 10 以上の参加者(CPS-10 集団),PD-L1 陽性腫瘍を有する CPS が 1 以上の参加者(CPS-1 集団),参加者全体の順に評価した.CPS は,値が高いほど PD-L1 発現細胞の割合が高いことを示す.
ペムブロリズマブ群には 363 例(CPS 10 以上 234 例,CPS 1 以上 347 例),対照群には 351 例(CPS 10 以上 231 例,CPS 1 以上 335 例)が割り付けられた.各群の約 88%で手術が完了した.1 回目の中間解析の時点で,追跡期間の中央値は 38.3 ヵ月であった.36 ヵ月の時点での無イベント生存率は,CPS-10 集団ではペムブロリズマブ群 59.8%,対照群 45.9%であり(病勢進行,再発,死亡のハザード比 0.66;95%信頼区間 [CI] 0.49~0.88;両側 P=0.004),CPS-1 集団ではそれぞれ 58.2%と 44.9%であり(ハザード比 0.70,95% CI 0.55~0.89,両側 P=0.003),集団全体ではそれぞれ 57.6%と 46.4%であった(ハザード比 0.73,95% CI 0.58~0.92,両側 P=0.008).グレード 3 以上の治療関連有害事象は,ペムブロリズマブ群の 44.6%と対照群の 42.9%に発現し,有害事象による死亡は,それぞれ 1.1%と 0.3%に発生した.ペムブロリズマブ群では,免疫介在性の可能性があるグレード 3 以上の有害事象が 10.0%に発現した.
局所進行 HNSCC 患者において,標準治療にペムブロリズマブによる術前・術後補助療法を追加することで,無イベント生存が有意に改善した.術前のペムブロリズマブ投与は,手術が完了する確率に影響を及ぼさなかった.新たな安全性シグナルは確認されなかった.(メルク シャープ アンド ドーム社 [メルク社の子会社,ニュージャージー州ローウェイ] から研究助成を受けた.KEYNOTE-689 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03765918)