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August 21, 2025 Vol. 393 No. 8

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肺癌にニボルマブと化学療法の併用による術前補助療法を行った場合の全生存
Overall Survival with Neoadjuvant Nivolumab plus Chemotherapy in Lung Cancer

P.M. Forde and Others

背景

ニボルマブ+化学療法による術前補助療法は,切除可能な非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象とした第 3 相試験において,病理学的完全奏効と無イベント生存を有意に改善した.全生存に関するデータが必要である.

方 法

非盲検第 3 相試験で,IB~IIIA 期の切除可能な NSCLC 患者を,術前にニボルマブ+化学療法を 3 サイクル行い,手術を行う群と,術前に化学療法のみを 3 サイクル行い,手術を行う群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,無イベント生存と病理学的完全奏効であった.今回は,事前に計画していた全生存の解析結果を報告する.

結 果

358 例が,ニボルマブ+化学療法群(179 例)と化学療法単独群(179 例)に同時期に割り付けられた.全生存の最終解析結果は,ニボルマブ+化学療法による術前補助療法のほうが,化学療法単独よりも有意に良好であった(死亡のハザード比 0.72,95%信頼区間 [CI] 0.523~0.998,P=0.048).追跡期間中央値 68.4 ヵ月の時点で,5 年全生存率はニボルマブ+化学療法群 65.4%,化学療法単独群 55.0%であり,大部分のサブグループで結果は一致していた.探索的に解析した,ニボルマブ+化学療法群における各状態別の 5 年全生存率は,病理学的完全奏効が得られた患者では 95.3%(95% CI 82.7~98.8),得られなかった患者では 55.7%(95% CI 46.9~63.7)であり,術前に血中循環腫瘍 DNA(ctDNA)のクリアランスが得られた患者では 75.0%,得られなかった患者では 52.6%であった.新たな安全性シグナルは認められなかった.

結 論

切除可能な NSCLC 患者に,ニボルマブ+化学療法による術前補助療法を 3 サイクル行った場合,化学療法のみを行った場合と比較して全生存が有意に改善した.(ブリストル・マイヤーズ スクイブ社から研究助成を受けた.CheckMate 816 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02998528)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 741 - 52. )