August 21, 2025 Vol. 393 No. 8
高リスク皮膚有棘細胞癌に対する術後のセミプリマブ投与とプラセボ投与との比較
Adjuvant Cemiplimab or Placebo in High-Risk Cutaneous Squamous-Cell Carcinoma
D. Rischin and Others
高リスク所見を伴う皮膚有棘細胞癌患者は,根治的局所治療後に再発するリスクがある.術後全身療法の選択肢の利益は,臨床試験では十分に確立されていない.
第 3 相無作為化試験で,皮膚有棘細胞癌を外科的に切除し,術後放射線療法を受けた患者で,リンパ節の所見(リンパ節の最大径が 20 mm 以上のリンパ節被膜外浸潤,またはリンパ節転移 3 個以上),あるいはリンパ節以外の所見(in-transit 転移,病変の深達度 T4 [骨浸潤を伴う],神経周囲浸潤,1 つ以上のリスク所見を伴う局所再発腫瘍)から,再発リスクが高いとされる患者を組み入れた.患者を,術後にセミプリマブ(350 mg)を投与する群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.投与は,3 週ごとに 12 週間静脈内投与し,その後 700 mg に増量し,6 週ごとに最長 36 週間投与した(総投与期間は最長で 48 週間).主要評価項目は無病生存とした.副次的評価項目は,無局所再発,無異所再発,安全性などとした.
415 例がセミプリマブ群(209 例)とプラセボ群(206 例)に割り付けられた.追跡期間中央値は 24 ヵ月であった.無病生存に関して,セミプリマブはプラセボよりも優れていた(24 件 対 65 件,疾患再発または死亡のハザード比 0.32,95%信頼区間 [CI] 0.20~0.51,P<0.001).24 ヵ月無病生存率の推定値はセミプリマブ群 87.1%(95% CI 80.3~91.6),プラセボ群 64.1%(95% CI 55.9~71.1)であった.セミプリマブにより,局所再発リスクは低くなり(9 件対 プラセボ群 40 件,ハザード比 0.20,95% CI 0.09~0.40),異所再発リスクも低くなった(10 件 対 26 件,ハザード比 0.35,95% CI 0.17~0.72).グレード 3 以上の有害事象の発現率は,セミプリマブの投与を受けた患者で 23.9%,プラセボの投与を受けた患者で 14.2%であった.有害事象により投与を中止した患者の割合は,それぞれ 9.8%,1.5%であった.
再発リスクの高い皮膚有棘細胞癌患者において,術後セミプリマブ療法により,無病生存期間はプラセボよりも長くなった.(リジェネロン ファーマシューティカルズ社,サノフィ社から研究助成を受けた.C-POST 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03969004)