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August 21, 2025 Vol. 393 No. 8

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自己免疫性肺胞蛋白症に対するモルグラモスチム吸入の第 3 相試験
Phase 3 Trial of Inhaled Molgramostim in Autoimmune Pulmonary Alveolar Proteinosis

B.C. Trapnell and Others

背景

自己免疫性肺胞蛋白症(aPAP)は,顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)に対する自己抗体によりサーファクタントが進行性に蓄積し,低酸素血症をきたすまれな疾患である.肺胞マクロファージがサーファクタントを除去するためには,GM-CSF が必要である.モルグラモスチム(molgramostim)は組換えヒト GM-CSF 吸入製剤であるが,aPAP 患者における有効性と安全性は十分に検討されていない.

方 法

第 3 相二重盲検プラセボ対照試験で,aPAP 患者を,モルグラモスチム 300 μg を 1 日 1 回,48 週間投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は一酸化炭素肺拡散能(DLCO)のベースラインから 24 週までの変化量とし,ヘモグロビン濃度で補正し,予測値に対する割合として示した.多重性を調整した副次的評価項目は,DLCO のベースラインから 48 週までの変化量と,セントジョージ呼吸器質問票の総合(SGRQ-T)スコア,活動性(SGRQ-A)スコア(0~100 で,値が低いほど QOL が良好であることを示す),運動耐容能のベースラインから 24 週までの変化量と 48 週までの変化量とした.

結 果

164 例が無作為化され,81 例がモルグラモスチム群,83 例がプラセボ群に割り付けられた.DLCO のベースラインから 24 週までの変化量の最小二乗平均は,モルグラモスチム群で 9.8 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] 7.3~12.3),プラセボ群で 3.8 パーセントポイント(95% CI 1.4~6.3)であった(推定治療差 6.0 パーセントポイント,95% CI 2.5~9.4,P<0.001).DLCO のベースラインから 48 週までの変化量の最小二乗平均は,モルグラモスチム群で 11.6 パーセントポイント(95% CI 8.7~14.5),プラセボ群で 4.7 パーセントポイント(95% CI 1.8~7.6)であり(P<0.001),SGRQ-T スコアの 24 週までの変化量の最小二乗平均は,それぞれ -11.5 点(95% CI -15.0~-8.0), -4.9 点(95% CI -8.3~-1.5)であった(P=0.007).SGRQ-A スコアの 24 週までの変化量には 2 群間で有意差が認められなかったため,それに続く副次的評価項目の統計的推定は行わなかった.有害事象が 1 件以上発現した患者の割合と,重篤な有害事象が 1 件以上発現した患者の割合は 2 群で同程度であった.

結 論

aPAP 患者では,モルグラモスチムの 1 日 1 回の吸入により,肺ガス交換がプラセボよりも大きくなった.(サバラ社から研究助成を受けた.IMPALA-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04544293,欧州臨床試験情報システム番号 2024-511052-41-00)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 764 - 73. )