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September 4, 2025 Vol. 393 No. 9

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肥満治療のためのマリデバート カフラグルチドの月 1 回投与 ― 第 2 相試験
Once-Monthly Maridebart Cafraglutide for the Treatment of Obesity — A Phase 2 Trial

A.M. Jastreboff and Others

背景

マリデバート カフラグルチド(maridebart cafraglutide [MariTide])は,肥満治療を目的とした長時間作用型ペプチド–抗体複合体であり,グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動作用とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体拮抗作用を併せもつ.

方 法

肥満者と 2 型糖尿病を有する肥満者の 2 集団を対象に,第 2 相二重盲検無作為化プラセボ対照用量設定試験を行った.肥満コホートを,マリデバート カフラグルチド 140 mg,280 mg,420 mg の各用量を漸増なしで 4 週ごとに皮下投与する群,420 mg を漸増なしで 8 週ごとに皮下投与する群,4 週間で 420 mg まで漸増し 4 週ごとに皮下投与する群,12 週間で 420 mg まで漸増し 4 週ごとに皮下投与する群,プラセボを投与する群に 3:3:3:2:2:2:3 の割合で無作為に割り付けた.肥満–糖尿病コホートを,マリデバート カフラグルチドを 4 週ごとに 140 mg 投与する群,280 mg 投与する群,420 mg 投与する群(いずれも用量漸増なし),プラセボを投与する群に 1:1:1:1 の割合で無作為に割り付けた(計 11 群).主要評価項目は体重のベースラインから 52 週目までの変化率とした.

結 果

592 例が登録された.肥満コホート(465 例,女性 63%,平均年齢 47.9 歳,平均体格指数 [BMI:体重 {kg}/身長 {m}2] 37.9)における,治療方針に基づく推定対象(estimand)(intention-to-treat アプローチ)に基づく体重のベースラインから 52 週目までの平均変化率は,マリデバート カフラグルチド群では -12.3%(95%信頼区間 [CI] -15.0~-9.7)から -16.2%(95% CI -18.9~-13.5)の範囲であったのに対し,プラセボ群では -2.5%(95% CI -4.2~-0.7)であった.肥満–糖尿病コホート(127 例,女性 42%,平均年齢 55.1 歳,平均 BMI 36.5)における,estimand に基づく体重のベースラインから 52 週目までの平均変化率は,マリデバート カフラグルチド群では-8.4%(95% CI -11.0~-5.7)から -12.3%(95% CI -15.3~-9.2)の範囲であったのに対し,プラセボ群では -1.7%(95% CI -2.9~-0.6)であった.肥満–糖尿病コホートにおける,estimand に基づく糖化ヘモグロビン値の平均変化量は,マリデバート カフラグルチド群では -1.2~-1.6 パーセントポイント,プラセボ群では 0.1 パーセントポイントであった.マリデバート カフラグルチド群では消化器系有害事象の頻度が高かったが,用量漸増した群と開始用量が低かった群では頻度がより低かった.予期しない安全性シグナルは出現しなかった.

結 論

第 2 相試験で,2 型糖尿病の有無にかかわらず,肥満者にマリデバート カフラグルチドを月 1 回投与することで,体重が大幅に減少した.(アムジェン社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05669599)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 843 - 57. )