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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 5, 2002
Vol. 347 No. 10

  • 青年期の女子における身体活動の低下
    Decline in Physical Activity in Girls during Adolescence

    青年期の女子における身体活動の低下

    黒人女子と白人女子を対象としたこの縦断研究において,著者らは 8~9 歳から 18~19 歳までの習慣的な余暇活動量を評価した.身体活動量は,時が経つにつれ急激に低下し,そのため,18~19 歳までに黒人女子の 56%と白人女子の 31%が,習慣的な余暇活動がないと報告した.黒人女子または白人女子,あるいはその両方における身体活動低下の予測因子は,親の教育レベルがより低いこと,体格指数がより高いこと,妊娠および喫煙であった.
    この調査は,青年期における女子の身体活動の相当の低下を示しており,低下の程度は黒人女子のほうが白人女子より大きい.これらのデータは,青年期における活動量を維持または増加するための介入の必要性を示唆している.

  • 女性における冠動脈イベント予防のための歩行と激しい運動の比較
    Walking Compared with Vigorous Exercise for Prevention of Coronary Events in Wome

    女性における冠動脈イベント予防のための歩行と激しい運動の比較

    身体活動が冠動脈イベントのリスクを減少させることは一般に認められている.この研究は,中等度の強度の活動にすぎない歩行が,閉経後女性における冠動脈イベントに対して予防効果をもつのかどうかについて焦点を当てた.歩行は,激しい運動と関連したリスク減少と同程度のリスク減少と関連していた.この知見は,白人女性と黒人女性に共に同等に当てはまった.
    歩行は多くの女性に好まれている活動であることから,この知見は女性の健康にとって重要である.閉経後女性にとって,週に少なくとも 2.5 時間早歩きをすることは,冠動脈イベントのリスクが 30%減少することと関連するという,公衆衛生上かなり重要な知見をこの研究は示している.

  • レビパリンを用いた深部静脈血栓症予防
    Prevention of Deep-Vein Thrombosis with Reviparin

    レビパリンを用いた深部静脈血栓症予防

    この無作為プラセボ対照試験は,脚の骨折またはアキレス腱断裂後に長期間の固定を必要とする患者における,深部静脈血栓症のリスク低減に関する,低分子量へパリンである,レビパリンの有効性と安全性を評価した.静脈造影により,深部静脈血栓症(大半が遠位)が,プラセボ群患者の 19%およびレビパリン群患者の 9%で認められ,実薬投与によりリスクが半減したことが示された.出血およびその他の有害事象の発生率には,2 群で有意差は認められなかった.
    深部静脈血栓症は,長期間の固定を必要とする脚部損傷後によくみられ,その発生率はレビパリン療法により低下する.このような治療を日常的に行うべきか否かは,さらなる検討が必要である.

  • 短報:HIV-1 に重複感染した患者
    Brief Report: A Patient with HIV-1 Superinfection

    短報:HIV-1 に重複感染した患者

    ある HIV 感染患者で,ワクチン研究プロトコルの一環として抗ウイルス療法を中止したとき,ウイルス血症のリバウンドがみられた.慎重な検討により,この患者が最初ウイルスのサブタイプ AE に感染したが,その後サブタイプ B に感染したことが示された.二重感染の根拠は認められなかったため,データは,これが HIV-1 の異なる株の重複感染の症例であることを示している.自然感染が必ずしも交差防御を起さないことは,HIV に対するワクチンの開発に影響を与えうる知見である.

  • 医学の進歩:IgA 腎症
    Medical Progress: IgA Nephropathy

    医学の進歩:IgA 腎症

    IgA 腎症は世界でもっともよくみられる原発性糸球体腎炎であり,また,原発性糸球体症患者における末期腎疾患のもっとも多い原因である.この論文は,この重大な糸球体症の病因,病態生理学,臨床経過および治療法に関する現在の見解について述べている.臨床試験は糖質コルチコイド,n-3 脂肪酸,アンジオテンシン変換酵素阻害剤などの投与が有効であることを示唆しているが,さらに信頼性の高い治療法が求められている.

  • Clinical Problem Solving:アフリカを離れて ― Out of Africa ―
    Clinical Problem-Solving: Out of Africa

    Clinical Problem Solving:アフリカを離れて ― Out of Africa ―

    コンゴ民主共和国の人権運動の指導者であった 42 歳の男性が情動ストレスと適応困難を示した.彼は最近の内戦中,投獄されているあいだに拷問を受けたことがあり,個人的・金銭的に苦労していた.精神状態検査では妄想思考が明らかとなった.身体所見は正常で,定期的な臨床検査では正球性正色素性貧血のみが認められた.

  • Sounding Board:非財政的な利害対立
    Sounding Board: Nonfinancial Conflicts of Interest

    研究者と産業界のつながりの劇的な増大は,財政上の利害対立に相応の懸念を起している.また,研究者は強い非財政上の利害対立にも直面している.医学教育機関における出世は研究費の獲得や論文の出版に左右されるため,研究者は,その多くがヒトを被験者とする研究試験を,うまく遂行することに強い個人的利益がある.この評論で著者は,研究者の非財政的な利害が被験者の利害と対立する場合のあることを調査し,非財政上の利害対立のより優れた管理へのアプローチを概説している.