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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 1, 2002
Vol. 347 No. 5

  • 肥満と心不全のリスク
    Obesity and the Risk of Heart Failure

    肥満と心不全のリスク

    過度な肥満は心不全の危険因子である.このフラミンガム心臓研究の解析では,より軽度の肥満と過体重に関連するリスクを評価した.体格指数の増加に伴って,心不全の連続的なリスクの上昇が認められた(体格指数が 1 増すごとに,男性では 5%,女性では 7%リスクが増加).フラミンガム集団では,肥満が,男性の心不全の 11%,女性の心不全の 14%を占める.
    肥満は,高血圧,糖尿病,および高脂血症などの確立された危険因子と関連することで心不全のリスクを増加しているのかもしれないが,肥満は心筋機能に対して直接悪影響を与える可能性もある.

  • 深刻な行動障害のある自閉症児に対するリスペリドン
    Risperidone in Children with Autism and Serious Behavioral Problems

    深刻な行動障害のある自閉症児に対するリスペリドン

    自閉症児における深刻な行動障害はよくみられ,管理が困難である.非定型抗精神病薬は統合失調症成人患者の治療において有効であり,従来の抗精神病薬より副作用が少ない.この無作為試験では,激しい癇癪,攻撃あるいは自傷行為を伴う 5~17 歳の自閉症障害児で,リスペリドンが行動を改善するかどうかを検討した.8 週間後,リスペリドン投与群の 69%で行動の大幅な改善が認められた.一方,プラセボ投与群では 12%であった.疲労,傾眠,振戦,流涎および食欲亢進は軽度であったが,リスペリドン群でより多くみられた.
    この 8 週間の試験から,非定型抗精神病薬は,自閉症児における中等度から重度の行動障害を改善することが示唆される.自閉症障害児におけるリスペリドン治療の長期的なリスクと効果はまだ明らかでない.

  • 重症肺高血圧症に対する吸入用イロプロスト
    Inhaled Iloprost for Severe Pulmonary Hypertension

    重症肺高血圧症に対する吸入用イロプロスト

    肺高血圧症の効果的な長期治療法の数は限られている.この二重盲検無作為試験では,肺動脈血管拡張薬プロスタサイクリンの安定な類似化合物であるイロプロストの吸入用剤を,12 週間評価した.イロプロストは,6 分間歩行距離とニューヨーク心臓協会の機能分類の改善を組み合せた複合エンドポイントに対して有益な効果を示した.
    イロプロストの利点は吸入により投与できることであり,従ってプロスタサイクリン投与に必要な静脈内投与を回避し,肺に直接薬物を輸送することを可能にする.

  • 電子レンジ用ポップコーン工場における閉塞性細気管支炎
    Bronchiolitis Obliterans in a Microwave-Popcorn Plant

    閉塞性細気管支炎は,細い気道の不可逆性閉塞を起し,環境的および職業的原因が知られている.8 人の従業員に閉塞性細気管支炎の徴候と症状が認められたことから,電子レンジ用ポップコーンを製造している工場で調査が開始された.現在の工場労働者のうち,ポップコーンにバター風味を付けるために使用している主な添加物である高濃度のジアセチル(2,3 -ブタンジオン)に曝露されている者は,気道閉塞の罹患率が予測率の 3 倍以上,咳嗽の罹患率が予測率の 2 倍以上であった.気道閉塞の程度とジアセチルへの曝露レベルとのあいだには強力な関連が認められた.
    この研究は,電子レンジ用ポップコーンに含まれる物質,おそらくはジアセチルであるが,この物質への職業的な曝露が,重度で不可逆性の気道閉塞を起しうることを示す説得力のある証拠を提供している.

  • Clinical Practice:帯状疱疹
    Clinical Practice: Herpes Zoster

    Clinical Practice:帯状疱疹

    77 歳の男性に,右側に灼熱痛とうずく痛みが 5 日間,紅斑と透明な小水疱群が,頭痛と倦怠感を伴って 2 日間続いている.患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

  • 最近の概念:毒ヘビの咬傷
    Current Concepts: Bites of Venomous Snakes

    最近の概念:毒ヘビの咬傷

    毎年米国では少なくとも 2,000 人が毒ヘビに咬まれている.この論文では,北米でみられる毒ヘビの咬傷に対する診断と管理について概説している.同じ原理が世界各地のヘビ咬傷の管理にも当てはまる.この概説は,毒物注入による合併症を簡潔に述べ,抗毒素の使用に関する現在の勧告を解説している.また,毒ヘビと毒をもたないヘビの見分け方をも説明している.