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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

June 5, 2003
Vol. 348 No. 23

ORIGINAL ARTICLE

  • 1 型糖尿病における微量アルブミン尿の消退
    Regression of Microalbuminuria in Type 1 Diabetes

    1 型糖尿病における微量アルブミン尿の消退

    1 型糖尿病における微量アルブミン尿は,明らかな蛋白尿や進行性腎症にいたる防ぎようのない過程の前触れと考えられてきた.はじめの 2 年の評価期間中に持続性微量アルブミン尿がみられた患者を対象としたこの研究では,その後 6 年間で 58%に微量アルブミン尿の消退がみられた.
    1 型糖尿病患者で微量アルブミン尿の消退がよくみられることは,尿中のアルブミン排泄量の増加が必ずしも進行性腎症につならがないことを示している.

  • 1 型糖尿病における強化治療と頸動脈内膜中膜肥厚度
    Intensive Therapy and Carotid Intima--Media Thickness in Type 1 Diabetes

    頸動脈内膜中膜肥厚度は,アテローム性動脈硬化症の指標と考えられている.この研究では,糖尿病の管理と合併症に関する試験(DCCT)の参加者で内膜中膜肥厚度を調査した.試験終了から 6 年後,内膜中膜肥厚度の進行は,従来の治療を受けた患者と比較して強化治療を受けた患者で有意に低 かった.
    これらのデータは,糖尿病の強化治療は,血管壁に影響を与えることによって血管の合併症を減少させることを示唆している.

  • タンデム質量分析計を用いた先天代謝異常の新生児スクリーニング
    Screening Newborns for Inborn Errors of Metabolism by Tandem Mass Spectrometry

    タンデム質量分析計を用いた新生児の通常のスクリーニングは,それ以前に臨床的に診断されていた数よりも多くの先天代謝異常症例の診断につながった.とくに,中鎖アシル CoA 脱水素酵素欠損症(初発症状が致命的となりうる)と他の脂肪酸酸化に関する疾患が,スクリーニングによってより多く診断された.
    タンデム質量分析計による一部の先天代謝異常の早期診断が,救命効果をもつ可能性もある.しかし,スクリーニングで診断された障害をもつ乳児のいずれが最終的に症状を呈するようになるかは明確でないため,どの乳児が早期診断により恩恵を受けるかも依然としてはっきりしない.

  • 双生児における思春期と乳癌に対する遺伝的感受性
    Puberty and Genetic Susceptibility to Breast Cancer in Twins

    この研究は,片方または両方の女性が乳癌に罹患した 1,900 組以上の双生児を対象とした.双生児の両方が乳癌に罹患した一卵性双生児では,思春期が早かったことが先に乳癌と診断されることの強力なリスク因子であった.
    これらの知見は,卵巣ホルモンへの早期曝露により乳癌の遺伝的リスクが増加するという仮説と一致している.

BRIEF REPORT

  • HIV-1 感染患者における心臓移植
    Cardiac Transplantationin an HIV-1-Infected Patient

    非常に強力な抗レトロウイルス療法の出現により,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者の長期転帰が大きく改善された.この論文は,カポジ肉腫治療のためのダウノルビシン療法後に心不全を発症した,HIV 1 型(HIV-1)感染患者における心臓移植の成功について報告している.
    移植に利用可能な心臓の供給が限られていることを考慮すると,医学界は,HIV 感染患者を,常に心臓移植の基準を満たした候補者と見なすことが適切かどうかについて議論する必要があるだろう.

CLINICAL PRACTICE

  • 顕微鏡的血尿
    Microscopic Hematuria

    その他の点では健康な 48 歳の女性に,生命保険会社が行った尿検査で顕微鏡的血尿(高倍率視野で赤血球 5 個)が発見された.ほかの検査所見に異常は見付からず,血清クレアチニン濃度は 0.8 mg/dL(70.7 μmol/L)である.女性は症状を訴えておらず,喫煙はしていない.血圧は 118/74 mmHg で,診察上の所見は正常である.この女性をどのように評価すべきであろうか?

GENOMIC MEDICINE

  • 乳癌と卵巣癌
    Breast and Ovarian Cancer

    乳癌と卵巣癌は女性でもっとも多く発生する癌である.家族が罹患している場合,女性は乳癌や卵巣癌に対するリスクが高くなることが知られている.ゲノム医学シリーズのこの論文は,これらの腫瘍に関連する遺伝的因子についての最新情報を提供している.

CORRESPONDENCE

  • 死亡の予測因子としての運動後の心室性期外収縮

  • カルチノイド心疾患

  • 大腸癌の遺伝学

  • 急性心筋梗塞における心電図

  • 前庭神経炎

  • 閉経後のホルモン療法

  • 選択的初回帝王切開分娩

  • コンピュータ・クラッシュ

  • 単一胎芽移植後の接合体の分離率