The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 4, 2003
Vol. 349 No. 10

This Week in the JOURNAL

ORIGINAL ARTICLES

  • 腎臓以外の臓器移植後に発症する慢性腎不全
    Chronic Renal Failure after Transplantation of a Nonrenal Organ

    腎臓以外の臓器移植後に発症する慢性腎不全

    腎臓以外の臓器移植後は慢性腎不全のリスクが高い.この人口ベースのコホート分析では,1990~2000 年に腎臓以外の臓器移植を受けた患者 69,321 例を対象に,慢性腎不全の発症率,危険因子,関連する死亡のハザードを評価した.中央値 36 ヵ月のあいだに,慢性腎不全が 11,426 例(16.5%)の患者で発症した.そのうち 28.9%は,維持透析または腎移植を必要とした.

    腎臓以外の臓器移植後に発症する慢性腎不全の 5 年リスクは著しく大きいうえ,慢性腎不全患者では死亡リスクが 4 倍以上増加する.

  • ペプチド YY3–36 による肥満被験者の摂食抑制
    Inhibition of Food Intake in Obese Subjects by Peptide YY3–36

    消化管ホルモンであるペプチド YY3–36(PYY)は,正常体重被験者において食欲やカロリー摂取量を減少させることが証明されている.しかし肥満者が,レプチンに抵抗性を示すのと同様に PYY にも抵抗性を示すかどうかは不明である.この二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験では,肥満被験者の PYY 濃度は痩せた被験者よりも低かった.PYY 投与により,痩せた被験者でも肥満被験者でも食欲と摂食量が減少した.

    PYY は,肥満被験者のカロリー摂取量を減少させる.したがって肥満の病因に役割を果している可能性がある.

  • ブプレノルフィンとナロキソンの舌下錠を用いたアヘン剤依存の外来治療
    Office-Based Treatment of Opiate Addiction with Sublingual Buprenorphine and Naloxone

    無作為多施設共同試験では,ブプレノルフィン単独使用またはブプレノルフィンとナロキソンの併用(ブプレノルフィンの非経口による乱用を防ぐため)による 1 ヵ月間のアヘン剤依存者の外来治療は,アヘン剤陽性の尿検査の割合およびアヘン剤への渇望頻度を減少させる点で,プラセボよりも優れていた.最長 52 週間の非盲検追跡調査により,ブプレノルフィンとナロキソンの併用が,安全で忍容性が高いことが確認された.

    ブプレノルフィン単独使用と,ブプレノルフィンとナロキソンの併用は,アヘン剤依存の外来治療を行ううえで有用かつ安全であると考えられる.

  • 超早産児における酸素飽和度目標値
    Oxygen-Saturation Targets in Extremely Preterm Infants

    この多施設共同無作為二重盲検対照試験では,最終月経後 32 週齢でまだ酸素補給に依存している超早産児(妊娠 30 週未満で出生)では,目標とする酸素飽和度の範囲を 95~98%にしても,標準目標範囲である 91~94%と比較して利益は得られなかった.

    超早産児では,酸素飽和度を 91%より高くすることで得られる生存上の利益はない.

GENOMIC MEDICINE

  • 疾患病態のプローブとしてのゲノム学
    Genomics as a Probe for Disease Biology

    ゲノム技術の使用は,よくみられる疾患とまれな疾患の両方の病態の洞察につながっている.このゲノム医学シリーズの最終回では,ゲノム学が疾患病態のプローブとして役立った多くの事例をあげている.

MECHANISMS OF DISEASE

  • 薬物依存
    Drug Addiction

    薬物依存の神経精神病学的機構は複雑で,興味深く,かつ臨床的に重要である.この論文は,薬物依存に関わる遺伝因子,受容体を介した作用,および解剖学的構造について概説している.

    薬物依存の生物学的基礎の理解は,この 5 年間で大きな進歩を遂げている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • ある診断の解剖学的分析
    Anatomy of a Diagnosis

    33 歳の男性が喀血の診断のために受診した.男性は,来院当日に大さじ 1 杯(約 15 mL)の鮮血を伴う一過性の咳嗽がみられたが,それまで通常の健康状態であった.咳嗽に関連した胸痛や呼吸困難はなかった.男性は,体重減少,発熱,病気,外傷が最近起ったことはなく,出血の既往もないと報告した.

CORRESPONDENCE