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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 25, 2003
Vol. 349 No. 13

This Week in the JOURNAL

ORIGINAL ARTICLES

  • 閉経後の骨粗鬆症のための副甲状腺ホルモン,アレンドロネート,またはその併用
    Parathyroid Hormone, Alendronate, or Both for Postmenopausal Osteoporosis

    理論的には,副甲状腺ホルモンとアレンドロネートの併用療法には相乗効果があり,骨吸収を減少させると同時に骨形成を増加させる可能性がある.この研究では,骨粗鬆症の閉経後女性 238 例を,副甲状腺ホルモン(1-84),アレンドロネート,またはその両方を 12 ヵ月間連日投与する群のいずれかに無作為に割付けた.骨塩密度はすべての群で増加し,副甲状腺ホルモン群と併用群のあいだに有意差はなかった.骨形成は,副甲状腺ホルモン療法で顕著に増加したが,併用療法では顕著ではなかった.

    この研究では,副甲状腺ホルモンとアレンドロネートの併用療法による相乗効果の兆候はみられていない.

  • 骨粗鬆症の男性における副甲状腺ホルモン,アレンドロネート,またはその併用
    Parathyroid Hormone, Alendronate, or Both in Men with Osteoporosis

    副甲状腺ホルモンは,骨形成と骨吸収の両方を増加させ,骨吸収抑制薬との併用により骨塩密度に対する作用が増強する可能性がある.年齢 46~85 歳の骨塩密度が低い男性 83 例を,アレンドロネート,副甲状腺ホルモン,またはその両方の投与のいずれかに無作為に割付けた.アレンドロネートは 30 ヵ月間投与し,副甲状腺ホルモン療法は 6 ヵ月目に開始した.腰椎と大腿骨頸部の骨塩密度は,副甲状腺ホルモンの単独療法で,アレンドロネート単独または併用療法よりも有意に増加した.

    アレンドロネートは,骨形成に対する副甲状腺ホルモン誘発性の刺激を弱める可能性がある.

  • 深部静脈血栓症の診断における D ダイマー
    D-Dimer in the Diagnosis of Deep-Vein Thrombosis

    深部静脈血栓症は,患者の臨床評価と下肢の超音波検査に基づいて診断される.この研究では,D ダイマーの測定により,患者の安全性を損なうことなく超音波検査の必要性を減らせることが明らかになった.

    D ダイマーはフィブリン溶解産物である.D ダイマーは非特異的ではあるが感度の高い深部静脈血栓のマーカーであり,この研究で実証されたように多面的な診断法の一部として有用である.

  • 輸血による西ナイルウイルスの伝播
    Transmission of West Nile Virus by Blood Transfusion

    2002 年,米国で 23 例の患者が,赤血球,血小板,血漿の輸血を介して西ナイルウイルスに感染したことが確認された.これらの患者の大部分は免疫不全状態であるか年齢が 70 歳以上であり,13 例の患者では,感染に関与すると考えられる血液製剤の輸血後約 10 日で髄膜脳炎が発症した.

    輸血された血液,血小板あるいは新鮮凍結血漿は,西ナイルウイルスを伝播することが可能である.供血者に核酸増幅法によるスクリーニングを行えば,このリスクが低減するであろう.

MECHANISMS OF DISEASE

  • てんかん
    Epilepsy

    てんかん

    てんかんに関する最近の研究により,全般性および局所性発作の重要かつ臨床的に関連するメカニズムが明らかにされている.その中にはイオンチャンネルの遺伝的異常,海馬硬化,皮質の奇形,グリア細胞の機能不全がある.この総説は,てんかんの予防と治療の可能性を示唆する研究知見を強調している.

CLINICAL PRACTICE

  • 肺塞栓症が疑われる症例の評価
    The Evaluation of Suspected Pulmonary Embolism

    51 歳の女性が,呼吸困難や喀血を伴わない右後部の胸膜炎性胸痛のため,主治医を受診している.体温は 38.2℃,脈拍数は 102/分である.診察では,右半胸郭後部に胸膜摩擦音が認められたが,それ以外に異常はみられない.また,胸部 X 線像は正常である.女性はウイルス性胸膜炎と推定され,抗炎症薬による治療を受けている.3 日後,女性は呼吸困難を訴え,再び来院した.この女性をどのように評価すべきであろうか?

HEALTH POLICY REPORT

  • 研究上の不正行為の調査における法の適正手続き
    Due Process in Investigations of Research Misconduct

    この報告は,研究の不正行為に関する連邦規則について概説している.その中で,申し立てられた不正行為を調査するに当って,告発された科学者にはより多くの手続き上の保護措置が保証されるべきであると主張している.最近では,告発された科学者が属する団体が調査を行っており,ほとんどの団体の方針は,無罪の推定を求めず,科学者が本人にとって不利な証拠をみることを認めていない.研究上の不正行為に対する調査には,低い証拠水準――証拠の優越――が用いられ,これは,証拠がどちらかといえば可能性のある結論を暗示することを求めている.

CORRESPONDENCE