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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 26, 2004
Vol. 350 No. 9

ORIGINAL ARTICLE

  • 小児期の体格指数の変化と青年期の耐糖能異常
    Changes in Childhood Body-Mass Index and Impaired Glucose Tolerance in Young Adulthood

    小児期の体格指数の変化と青年期の耐糖能異常

    インドのデリーで行われたこの研究では,出生時と小児期全般にわたって評価を受けた 26~32 歳の男女 1,442 人を,地域住民ベースの前向き研究で検討した.耐糖能異常や糖尿病がある被験者は,2 歳まで体格指数が低く,その後早期に体格指数が加速度的に上昇した者が多かった.
    これらの観察結果が確認されれば,小児期の成長を制御し,小児の体格指数が高い区分に移行しないようにすることで,小児期早期の糖尿病発症を遅延または予防できる可能性がある.

  • 瘻孔を伴うクローン病に対するインフリキシマブ維持療法
    Infliximab Maintenance Therapy for Fistulizing Crohn's Disease

    インフリキシマブは腫瘍壊死因子に対するモノクローナル抗体であり,クローン病患者の疾患活動性を低下させる.瘻孔を伴うクローン病で,インフリキシマブに反応を示した患者を対象としたこの試験では,8 週ごとにインフリキシマブを継続的に投与すると,プラセボを継続的に投与するよりも長く反応が持続した.54 週間の治療後,インフリキシマブ群患者の 36%とプラセボ群患者の 19%では,排液性瘻孔が認められなかった.
    インフリキシマブを用いた維持療法により,瘻孔を伴うクローン病患者における再発の可能性が減少した.

  • 鎌状赤血球症における肺高血圧症
    Pulmonary Hypertension in Sickle Cell Disease

    この研究では,鎌状赤血球症の成人患者の約 1/3 が肺高血圧症を合併することが示された.さらに重要なことに,肺高血圧症を合併する患者は,合併しない患者よりもはるかに死亡率が高い.
    肺高血圧症は,ドップラー心エコーで非侵襲的に診断することが可能で,鎌状赤血球症患者にとって不良な予後を示唆する所見である.肺高血圧症の緩和を目標とした介入試験が早急に必要である.

  • 経鼻インフルエンザワクチンとベル麻痺
    Intranasal Influenza Vaccine and Bell's Palsy

    スイスで経鼻インフルエンザワクチンが導入されてから,ワクチン接種を受けた者に生じたベル麻痺の報告が数十件あった.慎重に行われたこの研究では,経鼻ワクチン接種者のベル麻痺のリスクは,控えめに推定しても 19 倍高かった.ベル麻痺のリスクは非経口インフルエンザワクチン接種後には増加しなかった.
    経鼻不活化インフルエンザワクチンのこの製剤はスイスでしか使用されておらず,その後市場から回収された.この報告は,認可前の治験で検出できなかった,頻度の低い有害作用を実証するものである.

CLINICAL PRACTICE

  • 蜂窩織炎
    Cellulitis

    他の点では健康な 40 歳の男性が,熱っぽくなり,足背の疼痛と発赤に気付いた.圧痛のある浮腫と紅斑は脛骨前部にまで広がり,足指間には亀裂が認められた.どのような診断手順と治療が必要であろうか?

HEALTH POLICY REPORT

  • 英国の国民医療サービス再考
    Britain's National Health Service Revisited

    この“Health Policy Report”では,英国の国民医療サービス(NHS)における最近の政策変更について概説している.英国政府は,医療費を国内総生産の 8%にふやす計画を立てている.これは,欧州連合の医療費の平均レベルである.この報告では,NHS の管理の分散化,医療の質の改善,患者の待ち時間の短縮,および NHS をより患者主体にする新たな構想の意義について述べている.

MECHANISMS OF DISEASE

  • X 連鎖 SCID に対する遺伝子治療後の T 細胞癌遺伝子 LMO2 の活性化
    Activation of the T-Cell Oncogene LMO2 after Gene Therapy for X-Linked SCID

    X 連鎖重症複合免疫不全症(SCID)の男児 10 例に対し,遺伝子治療――レトロウイルスを用いて患者の造血幹細胞内に対象の遺伝子(IL2Rγc)を運ぶ――を行った.そのうち 2 例で T 細胞白血病に類似した症状が発現した.それら 2 例と,白血病は発症しなかった他の 1 例では,レトロウイルスがゲノムの同じ位置,すなわち小児リンパ性白血病に関与する LMO2 の遺伝子座に組み込まれていた.この論文では,これらのイベントの分子生物学について概説し,それが遺伝子治療の今後に及ぼす影響について論じている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 多数の色素性病変を有し黒色腫の既往がある女性
    A Woman with Multiple Pigmented Lesions and a History of Melanoma

    多数の色素性病変を有し黒色腫の既往がある女性

    多数の色素性皮膚病変を有し,黒色腫の既往と家族歴がある 48 歳の女性について,32 歳から経過を色素性病変専門の診療所で追跡してきた.この“Case Record”では家族性の母斑と黒色腫症候群の分類について概説し,遺伝子検査の役割とこの患者ならびにその家族の管理法について述べている.