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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 21, 2004
Vol. 351 No. 17

ORIGINAL ARTICLE

  • 交通と心筋梗塞
    Traffic and Myocardial Infarction

    交通と心筋梗塞

    この研究では,心筋梗塞を引き起す可能性がある要因として,都市部における交通への曝露を検討した.交通への曝露とその 1 時間後の心筋梗塞の発症とのあいだには,有意な関連性が認められた.この関連性は,自動車,公共交通機関,自転車のいずれを利用した場合にも当てはまった.
    この所見についてのはっきりとした説明はなされていないが,おそらくは交通量が多い地域における大気汚染の有害な影響と関連していると考えられる.一方で,交通量が多い状態で受ける精神的ストレスも,なんらかの役割を果している可能性がある.

  • 直腸癌に対する術前化学放射線療法と術後化学放射線療法の比較
    Preoperative versus Postoperative Chemoradiotherapy for Rectal Cancer

    直腸癌に対する術前化学放射線療法と術後化学放射線療法の比較

    この無作為試験では,局所進行直腸癌に対する術前化学放射線療法と術後化学放射線療法を比較した.全生存率は 2 群で同程度であったが,術前化学放射線療法に割付けられた患者のほうが,術後群の患者よりも,局所再発率が低く長期毒性作用も少なかった.
    5 年の時点で,局所進行直腸癌患者の全生存率は約 75%である.この疾患の管理における進歩は,より早期の診断,手術手技の改善,より有効な化学療法によって進展する可能性がある.

  • 結核性髄膜炎患者に対する デキサメタゾン
    Dexamethasone for Patients with Tuberculous Meningitis

    結核性髄膜炎患者に対する デキサメタゾン

    結核性髄膜炎に罹患した成人では,結核治療を行っても,半数以上は死亡するか,重度の障害が残る.ベトナムで実施されたこの二重盲検プラセボ対照試験では,デキサメタゾンによる治療は,プラセボと比較して,死亡リスクの低下に関連していた(31.8% 対 41.3%).
    この大規模試験では,副腎皮質ステロイドを用いた補助療法により,14 歳を超える結核性髄膜炎患者の生存率が向上することが立証されている.

  • 喘息感受性における遺伝子変異の役割
    Role of Gene Variants in Susceptibility to Asthma

    喘息感受性における遺伝子変異の役割

    この研究では,プロスタノイドプロスタグランジン D 受容体遺伝子(PTGDR)の 3 つの多型が,喘息の予防と関連することが示されている.それぞれの多型は,転写因子の結合に影響を及ぼし,次にそれが PTGDR の発現に影響を及ぼす.PTGDR の発現レベルの低下をもたらす 3 つの多型の遺伝は,ヨーロッパ系アメリカ人やアフリカ系アメリカ人における,喘息のかかりにくさと関連している.

CLINICAL PRACTICE

  • 甲状腺結節
    The Thyroid Nodule

    42 歳の女性が,頸部左側に触知可能な腫瘤を呈している.女性に頸部痛や甲状腺機能障害の症状はない.身体診察では,2 cm×3 cm の,孤立性で可動性のある甲状腺結節が認められるが,リンパ節腫脹はない.甲状腺疾患の家族歴や,外部照射の経歴はない.どのような検査を行うべきであろうか? 結節は良性であると仮定して,治療法があるならばどの方法を推奨すべきであろうか?

MECHANISMS OF DISEASE

  • RNA 干渉の治療における可能性
    Therapeutic Potential of RNA Interference

    RNA 干渉(RNAi)では,容易に合成できる RNA 断片を用いて,高い特異性で遺伝子発現をダウンレギュレーションする.この手法は約 7 年前に発見されて以来急速に進化し,現在では,多くの分子生物学の研究室で,日常的に利用されている.最近では,動物モデルで疾患の治療に成功したことから,RNAi でヒトの疾患を治療できる可能性も示唆されている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 大きな後腹膜腫瘤を有する 68 歳の男性
    A 68-Year-Old Man with a Large Retroperitoneal Mass

    68 歳の男性に,定期健康診断で大きな後腹膜腫瘤が見つかった.生検により,消化管の間質性腫瘍が明らかとなった.4 ヵ月後,腫瘍は大きくなったが,依然として患者に症状はみられなかった.討議者らは,この種の腫瘍に適応する診断と治療における最近の進歩について概説している.