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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 9, 2004
Vol. 351 No. 24

ORIGINAL ARTICLE

  • 心筋梗塞後の予防的な植込み型除細動器
    Implantable Cardioverter-Defibrillators as Prophylaxis after Myocardial Infarction

    心筋梗塞後の予防的な植込み型除細動器

    心筋梗塞を起して間もない心室性不整脈のリスクが高い患者では,植込み型除細動器(ICD)を予防的に使用することで,生存率が向上するであろうか? 今回の無作為試験でそれが否定された.ICD 群患者の不整脈による死亡率は確かに低かったが,不整脈以外の原因による死亡率の上昇で相殺された.
    この結果は,たとえ不整脈のリスクが高い患者であっても,心筋梗塞を起して間もない患者に常に ICD を植込むべきではないことを示しており,重要である.

  • 進行卵巣癌に対する二次的外科切除術
    Secondary Surgical Cytoreduction for Advanced Ovarian Carcinoma

    進行卵巣癌で初回の積極的手術を受けた患者において,パクリタキセル+シスプラチンによる強力な化学療法後に行う,二次的外科切除術の意義は明らかではない.この無作為試験では,初回の腫瘍切除術を最大限行ったあとの化学療法に加え二次的手術を行っても,生存に関する利益は何も得られないことが明らかになった.
    この試験の結果から,進行卵巣癌に対する初回の積極的手術後に行う二次的開腹術は,パクリタキセル+シスプラチンによる化学療法になんら利益を加えないことが示唆される.

  • レボドパとパーキンソン病の進行
    Levodopa and the Progression of Parkinson's Disease

    この無作為試験では,パーキンソン病の進行に対するレボドパの効果を検討した.40 週の治療とその後 2 週間の休薬後,パーキンソン病症状の重症度は,プラセボ投与患者のほうがレボドパ投与患者よりも高かった.しかし,神経画像データでは,ドーパミン神経終末の欠損はレボドパ投与患者でより多いことが示唆された.
    臨床データは,レボドパがパーキンソン病の臨床進行を加速することなく症状を緩和することを示しているが,神経画像データの結果とは一致しない.

  • パーキンソン病に関連した痴呆に対するリバスチグミン
    Rivastigmine for Dementia Associated with Parkinson's Disease

    パーキンソン病に関連した痴呆の患者を対象としたこの 24 週間の無作為試験では,リバスチグミンで治療を受けた患者のほうが,プラセボ投与を受けた患者よりも転帰が優れていた.医師らは,リバスチグミン群患者の 19.8%とプラセボ群患者の 14.5%に臨床改善を認め,リバスチグミン群患者の 13.0%とプラセボ群患者の 23.1%に臨床的悪化を認めた.
    パーキンソン病に関連した痴呆に対するリバスチグミンの利益は中程度であり,アルツハイマー病に対するリバスチグミンの試験で報告された利益と同程度である.

MEDICAL PROGRESS

  • 卵巣癌
    Ovarian Cancer

    卵巣癌

    卵巣癌の患者は,たいていの場合進行癌であり,一般に,外科的切除とその後の白金製剤ベースの化学療法によって管理される.最近の化学療法の進歩によって生存率が改善し,また,遺伝的リスク因子の解明がすすんだことにより,適応となる女性を選択して行う両側卵管卵巣摘除術といった,個々の患者に合せた予防戦略が可能となっている.この総説では,卵巣癌の臨床像と,術後管理における最近の進展について説明する.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 閉経後出血と嚢胞性卵巣腫瘤を呈する女性
    A Woman with Postmenopausal Bleeding and a Cystic Ovarian Mass

    閉経後出血と嚢胞性卵巣腫瘤を呈する女性

    閉経後出血があった 52 歳の女性で, 12 cm の嚢胞性卵巣腫瘤が画像検査で検出された.嚢胞を切除したところ,漿液性乳頭状嚢胞腺癌が認められた.この腺癌は悪性度が 3 段階中 2~3 で,良性および境界悪性の領域を含む漿液性腫瘍内に,ポリープ状の嚢胞内腫瘤として発生していた.討議者らは,早期卵巣癌の診断,悪性度評価,治療について概説している.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 流行性インフルエンザウイルスを分析する
    Dissecting a Pandemic Influenzavirus

    最近の研究で,1918~19 年のインフルエンザ(スペイン型インフルエンザ)の大流行では,赤血球凝集素蛋白が,スペイン型インフルエンザに関連した出血性肺炎とそれに伴う高い死亡率の原因であったことが示唆されている.この知見は,スペイン風邪の疫学と共に,将来の大流行への対応に影響をもたらすものである.