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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 1, 2005
Vol. 353 No. 9

ORIGINAL ARTICLES

  • デングショック症候群における輸液蘇生
    Fluid Resuscitation in Dengue Shock Syndrome

    中等度のデングショック症候群のベトナム人小児 383 例を対象としたこの無作為試験では,コロイド液による初期蘇生後に,乳酸リンゲル液,6%デキストラン 70,6%ヒドロキシデンプンの使用を比較した.主要臨床転帰指標の結果は 3 種類の輸液のいずれも同程度であった.この試験から,中等度のデングショック症候群では,乳酸リンゲル液を使用することで,より高価な 2 種類のコロイド液と同様に良好な転帰が得られるという強いエビデンスが得られた.

  • 食品媒介性 A 型肝炎の大規模な集団発生
    A Large Outbreak of Foodborne Hepatitis A

    ペンシルバニア州の 1 軒のレストランで,利用客と従業員計 601 人にA 型肝炎の集団発生が起った.少なくとも 124 人が入院し,3 人が死亡した.調査の結果,利用客全員に提供されたサルサに入っていた,メキシコから輸入された生のグリーンオニオンが原因であることが示された.

  • パジェット病に対するゾレドロン酸の単回投与とリセドロン酸の比較
    A Single Infusion of Zoledronic Acid vs. Risedronate for Paget's Disease

    この試験では,パジェット病患者を対象に,ゾレドロン酸の単回静脈内投与とリセドロン酸の連日経口投与を比較した.6 ヵ月の時点で治療効果がみられたのは,ゾレドロン酸投与を受けた患者で 96%であったのに対し,リセドロン酸投与を受けた患者では 74%であった.ゾレドロン酸の単回投与のほうが,リセドロン酸の連日投与よりも反応が迅速かつ完全で,持続性があり,ビスホスホネート療法に対するアドヒアランスが高まる可能性がある.

  • 胎便吸引症候群予防のための羊水注入
    Amnioinfusion for Prevention of the Meconium Aspiration Syndrome

    この大規模無作為試験では,分娩時に強い羊水混濁が認められた女性に羊水注入(羊膜腔への生理食塩水注入)を行っても,中等度から重度の胎便吸引症候群,周産期死亡,その他母体や新生児における重大な障害のリスクはいずれも減少しないことが示された.これらのデータから,少なくともこの試験のように,胎児心拍モニタリングや蘇生のための手段がある状況では,羊水注入は有益ではないことが示唆される.

BRIEF REPORT

  • 若年性パジェット病に対するリコンビナントオステオプロテジェリン
    Recombinant Osteoprotegerin for Juvenile Paget's Disease

    若年性パジェット病は,骨代謝の亢進を特徴とする遺伝性骨疾患であり,破骨細胞形成の鍵を握る主要な制御因子,オステオプロテジェリンをコードする遺伝子の不活性化変異によって生じる.著者らは,若年性パジェット病の 2 人の成人姉弟において,リコンビナントオステオプロテジェリンの効果を検討した.15 ヵ月後,橈骨骨量が増加し,骨格のビスホスホネート滞留は減少し,X 線画像上の改善が認められた.オステオプロテジェリンは,若年性パジェット病に対して治療効果を有する可能性がある.

CURRENT CONCEPTS

  • 旅行者のデング熱感染
    Dengue Infection in Travelers

    デングウイルス感染は,熱帯地域への旅行者において,おそらくマラリアに次いでもっともよくみられる感染症である.このフラビウイルス感染は,蚊が媒介する.デングウイルス感染は多くの場合無症候性であるが,白血球減少,血小板減少,さらには出血性合併症やショック症状までをも引き起すことがある.この総説では,最新の診断確定法,合併症の管理法,そしてこの危険性の高い感染の予防法について概説している.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • ある水兵の心痛
    A Sailor's Heartbreak

    24 歳の海軍兵が,7 日前から息切れ,時折の胸骨下痛,腹囲の増加,悪心嘔吐が続いていたため救急外来を受診した.男性は,脚のむくみを訴え,受診前の 3 週間で体重が 14 kg ふえたと報告した.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 癌細胞の選択的標的
    Selective Targeting of Cancer Cells

    癌の標的療法のほとんどが,癌細胞が発現する特異蛋白に結合するようデザインされている.最近の 2 件の研究から,腫瘍の脆弱部位を攻撃するという新しい方法の有効性が示唆されている.