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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 19, 2007
Vol. 356 No. 16

ORIGINAL ARTICLE

  • 小児集中治療室における輸血戦略
    Transfusion Strategies in Pediatric Intensive Care Units

    小児集中治療室における赤血球輸血のタイミングと量については,依然として検討すべき問題が残っている.病状の安定している重症の小児を組み入れたこの研究では,輸血を制限する戦略(輸血を施行するヘモグロビンの閾値を 7 g/dL とする)は,制限しない戦略(閾値 9.5 g/dL)と同様に安全であることが示された.多臓器不全を起した割合は,両群で同等であった.

  • 家族性高コレステロール血症の頸動脈アテローム硬化に対するトルセトラピブの作用
    Effect of Torcetrapib on Carotid Atherosclerosis in Familial Hypercholesterolemia

    コレステリルエステル転送蛋白阻害薬であるトルセトラピブは,高比重リポ蛋白コレステロール値を顕著に上昇させ,低比重リポ蛋白コレステロール値を低下させることから,理論上はアテローム硬化に対して有益な効果があると考えられる.しかし,この臨床試験で頸動脈内膜中膜複合体厚の超音波測定を行ったところ,トルセトラピブの頸動脈アテローム硬化に対する有益な効果は認められなかった.この知見の根拠は不明であるが,この薬剤により血圧がわずかに上昇した.

  • 消化管出血患者に対する内視鏡検査前のオメプラゾール投与
    Omeprazole before Endoscopy in Patients with Gastrointestinal Bleeding

    上部消化管出血患者を対象としたこの無作為化試験では,内視鏡検査前にオメプラゾールを投与したところ,プラセボと比較して内視鏡治療の施行率が低下した(19.1% 対 28.4%,P=0.007).また,消化性潰瘍の患者においては,プラセボ群よりも活動性の出血性潰瘍数が少なく,潰瘍底に出血所見のない潰瘍数が多い結果となった.これらの知見から,オメプラゾール投与は,内視鏡検査を待つ上部消化管出血患者に有益であることが示唆される.

BRIEF REPORT

  • 遺伝性 GPI 欠損症に対する標的治療
    Targeted Therapy for Inherited GPI Deficiency

    遺伝性のグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症は,内臓の静脈血栓とてんかんを特徴とし,PIGM のプロモーター領域における突然変異が原因で発症する.この突然変異により,プロモーターが脱アセチル化し,遺伝子の転写が減少する.この疾患を有する若年患者において,ヒストンデアセチラーゼ阻害薬である酪酸ナトリウムを用いた治療を行ったところ,PIGM 転写が増加し,てんかん重積状態がコントロールされた.

CLINICAL PRACTICE

  • 成人の便失禁
    Fecal Incontinence in Adults

    53 歳の女性が,間欠性の便失禁のため受診した.エピソードは身体活動時に突然起ることが多く,女性は吸収パッドを着用していた.また,咳やくしゃみをしたさいに,ときおり尿失禁もみられた.消化管手術歴や直腸手術歴はなく,神経症状もなかった.診察で肛門周囲の奇形や直腸脱はみられなかった.肛門管圧は十分であったが,肛門括約筋および恥骨直腸筋の収縮は弱かった.力んでも直腸脱はみられず,会陰下垂はおよそ 2 cm である.この女性をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 心肺移植後に腎不全を呈した 56 歳の女性
    A 56-Year-Old Woman with Renal Failure after Heart-Lung Transplantation

    56 歳の女性が,腎不全のため入院した.女性は 10 年前に,原発性肺高血圧症のため心肺移植を受けていた.免疫抑制レジメンは,シクロスポリン,プレドニゾン,アザチオプリンであった.女性には病歴として,19 歳時の糸球体腎炎(治癒)と,再発性尿路感染症があった.移植後,腎機能は徐々に低下し,蛋白尿が発現した.診断検査が行われた.

SPECIAL REPORT

  • 米国における 2003 年の乳癌罹患率の低下
    The Decrease in Breast Cancer Incidence in 2003 in the United States

    米国国立癌研究所のサーベイランス・疫学・最終結果(SEER)登録データの分析により,米国における乳癌の年齢調整罹患率が,2003 年には 2002 年よりも大幅に低下し,6.7%の低下がみられたことが明らかになった.罹患率の低下は 2002 年半ばごろから始り,2003 年半ばには横ばい状態となった.著者らは,この低下の原因は,閉経後のホルモン補充療法の実施が急激に減少したことにあるとしている.