The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み
  • 目 次
  • This Week at NEJM.org

    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 7, 2009
Vol. 360 No. 19

ORIGINAL ARTICLE

  • スウェーデンにおける薬剤溶出ステントとベアメタルステントの長期の安全性と有効性の比較
    Long-Term Safety and Efficacy of Drug-Eluting versus Bare-Metal Stents in Sweden

    スウェーデンの大規模な登録に基づくこの研究では,死亡および心筋梗塞の長期リスクは,ベアメタルステントを留置した患者と薬剤溶出ステントを留置した患者で同等であった.狭窄率は薬剤溶出ステント群のほうが低く,とくに再狭窄のリスクが高い患者で低い傾向にあった.

  • 急性心筋梗塞に対するパクリタキセル溶出ステントとベアメタルステントの比較
    Paclitaxel-Eluting Stents versus Bare-Metal Stents in Acute Myocardial Infarction

    ST 上昇型急性心筋梗塞では,梗塞責任動脈に対する冠動脈ステント留置が即座に行われることが多い.パクリタキセル溶出ステントを用いた場合,ベアメタルステントを用いた場合に比べて再狭窄のリスクは減少し,安全性は同等であった.

  • てんかん,運動失調,感音性難聴,腎尿細管疾患と KCNJ10 変異
    Epilepsy, Ataxia, Sensorineural Deafness, Tubulopathy, and KCNJ10 Mutations

    正常血圧で低カリウム性代謝性アルカローシス,てんかん,運動失調,感音性難聴,腎尿細管疾患を伴う小児を対象とした全ゲノム連鎖解析により,染色体 1q23.2 上に,脳,内耳,腎で発現されるカリウムチャネルをコードする KCNJ10 遺伝子を含む 1 つの遺伝子座が同定された.この結果から,KCNJ10 は腎における塩類処理と,そしておそらくは血圧の維持・調節に,重要な役割を果たしていることが示唆される.

BRIEF REPORT

  • 免疫不全と自己免疫に関連する STIM1 変異
    STIM1 Mutation Associated with a Syndrome of Immunodeficiency and Autoimmunity

    この報告では,細菌やウイルスに対する易感染性,自己免疫性溶血性貧血,免疫性血小板減少症,リンパ節腫大,肝脾腫,その他の異常を有する 3 人の兄弟について述べている.兄弟のうち 1 人の DNA には,細胞へのストア感受性 Ca2+流入に関与する蛋白である STIM1 の遺伝子にホモ接合変異がみられた.両親にはヘテロ接合性変異が認められた.これらの症例は,Ca2+流入がリンパ球の活性化に必要であることを示している.

SPECIAL ARTICLE

  • 予防接種拒否とワクチン予防可能疾患のリスク
    Vaccine Refusal and the Risks of Vaccine-Preventable Diseases

    米国では,義務的予防接種の免除率が上昇している.予防接種拒否の主な理由は,予防接種の安全性に関する保護者の懸念と,ワクチン予防可能疾患のリスクに対する関心の低さである.医師は,保護者にとって予防接種に関する主な情報源であり,予防接種に関する保護者の判断に重要な役割を果たす.

MECHANISMS OF DISEASE

  • 強皮症
    Scleroderma

    強皮症の機序に関するこの論文は,強皮症における血管の変化と線維化を引き起こす遺伝子的・分子的変化に焦点を当てている.強皮症ではいくつかの自己抗体がみられるが,その役割は明らかではない.著者らは,炎症から線維形成を経て,最終的に萎縮にいたる段階的過程を概説している.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 赤い旗
    A Red Flag

    64 歳の男性が,前頭痛を発症した日に,両眼の霧視と複視が突然発症したため救急部に搬送された.診察時には精神の変調が認められた.発熱,悪寒,局所的な脱力の所見はなかった.

HEALTH LAW, ETHICS, AND HUMAN RIGHTS

  • ニューヨーク市の肥満とのたたかい
    New York City's War on Fat

    著者は,肥満を防止するため,レストランでのトランス脂肪酸の使用を禁じ,レストランチェーンにはメニューにカロリー表示を求めるというニューヨーク市の取り組みを概説している.また,これらの新政策に対し,外食産業が続ける法的異議申し立てについて論じている.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 脂肪に割り込む筋
    Muscling In on Fat

    褐色脂肪を構成する脂肪細胞には異なる 2 つの系列があり,うち 1 つは,白色脂肪組織よりも筋に密接に関連するとみられる.