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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

December 31, 2009
Vol. 361 No. 27

ORIGINAL ARTICLE

  • 高リスク集団における MMP12 と肺機能,COPD
    MMP12, Lung Function, and COPD in High-Risk Populations

    マトリックスメタロペプチダーゼをコードする MMP12 の変異は,喘息児と成人喫煙者の肺機能の維持と関連している.また,この変異は成人喫煙者の慢性閉塞性肺疾患(COPD)リスクの減少にも関連している.

  • らい菌感染に対する遺伝的感受性
    Genetic Susceptibility to Infection by Mycobacterium leprae

    感染症に対する遺伝的感受性はほとんど明らかにされていない.この研究では,自然免疫応答を制御する NOD2(ヌクレオチド結合オリゴマー形成ドメイン 2)シグナル伝達経路の分子をコードする遺伝子の変異が,らい菌(Mycobacterium leprae)への感染感受性とハンセン病に関連していることが示唆された.

  • 2009 H1N1 インフルエンザの家庭内伝播
    Household Transmission of 2009 H1N1 Influenza

    2009 H1N1 ウイルスの発端患者から家庭内接触者への伝播に関連する要因は,ほとんど明らかにされていない.この研究により,家族が 2009 H1N1 インフルエンザウイルスに感染した場合,家庭内接触者の急性呼吸器疾患への感受性は,18 歳以下で 19~50 歳の 2 倍であり,50 歳を超えると低下することが示された.家族の人数が少ないほど,家庭内伝播は増加した.

  • ニューヨーク市の 1 学校における 2009 H1N1 インフルエンザのパンデミック
    Outbreak of 2009 H1N1 Influenza at a New York City School

    ニューヨーク市の 1 校の高校に持ち込まれた 2009 H1N1 ウイルスは,生徒と職員のあいだで急速に拡大し,2 週間で 800 例以上がインフルエンザ様疾患を発症した.2009 H1N1 ウイルスへの曝露歴がないこの集団において,潜伏期間は約 2 日,世代時間の中央値は 2.7 日,校内での再生産数は 3.3 と推定された.

SPECIAL ARTICLE

  • 退院計画と再入院率に関するデータの公開
    Public Reporting of Discharge Planning and Rates of Readmissions

    医療政策の専門家らは,医療の質向上と費用削減のための方法の 1 つとして,再入院の防止に焦点を当てている.この研究により,再入院率に大きなばらつきがある一方で,退院計画と再入院の関連は弱いことが示された.退院計画のデータを公開することで再入院率が低下する可能性は低い.

CLINICAL THERAPEUTICS

  • 敗血症に対する活性化プロテイン C
    Activated Protein C for Sepsis

    55 歳の男性が小腸穿孔で受診し,敗血症を発症した.遺伝子組換えヒト活性化プロテイン C による治療が推奨されている.活性化プロテイン C は敗血症における凝固亢進を抑制するほか,全身性炎症反応を抑制する可能性もある.この薬剤の使用により出血リスクが上昇するため,臨床上の有益性と使用の推奨に関しては議論がある.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 低体温と凍傷を呈する男児
    A Boy with Hypothermia and Frostbite

    16 歳の男児が,アルコール飲料が出されていたパーティーをあとにし,約 7 時間経った午前 6 時に雪の吹き溜まりで意識不明の状態で発見され,当院に搬送された.発見時には一部の衣服を身に着けておらず,四肢が雪に埋まり,右足は氷層に埋まっていたという.最初の診察では,朦朧状態で反応に遅延がみられたが,見当識はあり,自発呼吸し,悪寒戦慄はなかった.直腸温は 31.3℃であった.触診すると両手と右足は冷たく硬かったが,左足は冷たいが柔らかかった.治療の意思決定がなされた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • 加齢関連疾患の分子的制御
    Molecular Control of Age-Related Diseases

    カロリー制限と分子経路の遮断により,一部の動物モデルで寿命が延長した.TOR(ラパマイシン[シロリムス]標的)経路の下流の分子が欠損する雌マウスでは,対照マウスより寿命が延びたばかりでなく,骨・筋・免疫機能の加齢に伴う低下が予防された.