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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

March 18, 2010
Vol. 362 No. 11

ORIGINAL ARTICLE

  • コントロール不良喘息児への段階的治療法
    Step-up Therapy for Children with Uncontrolled Asthma

    低用量吸入コルチコステロイド(ICS)を用いてもコントロールが不良な喘息児は多い.この 3 療法クロスオーバー試験では,用量を倍増した ICS,ICS+ロイコトリエン受容体拮抗薬,ICS+長時間作用型 β 刺激薬のいずれかにより,より良好な喘息コントロールが可能かどうかを検討した.ほとんどの患児が長時間作用型 β 刺激薬に最良の反応を示したが,倍量の ICS やロイコトリエン受容体拮抗薬に最良の反応を示した患児もいた.

  • 乳癌リスクモデルに用いる頻度の高い遺伝子変異
    Performance of Common Genetic Variants in Breast-Cancer Risk Models

    女性の乳癌リスクの評価には,乳癌リスク評価ツール,すなわち Gail モデルが主に用いられるが,このモデルには乳癌を有する第一度近親者数,初潮年齢,初産年齢,過去の乳房生検回数が含まれている.この研究では,乳癌との関連が示されている遺伝子変異のデータを加えたところ,乳癌リスクモデルの精度の向上はわずかであった.

  • 日本における国家規模の一般市民除細動
    Nationwide Public-Access Defibrillation in Japan

    日本における自動体外式除細動器(AED)の公共の場での普及は,一般市民による電気ショックの早期実施と,院外心停止後の最小神経機能障害での生存率の向上に関連していた.

  • 幼児血管腫由来幹細胞でのコルチコステロイドによる VEGF-A の抑制
    Corticosteroid Suppression of VEGF-A in Infantile Hemangioma-Derived Stem Cells

    幼児血管腫に対するコルチコステロイド療法の有益性の機序は明らかにされていない.この研究では,血管腫由来幹細胞をヌードマウスに移植した場合の in vivo での血管新生作用が示された.デキサメタゾンを全身投与するか,もしくはデキサメタゾンで幹細胞の前処理を行うと,血管新生が阻害された.また,デキサメタゾンにより血管内皮増殖因子 A(VEGF-A)の産生が抑制された.短鎖ヘアピン RNA で VEGF-A をサイレンシングした場合にも血管新生が阻害された.

SPECIAL ARTICLE

  • 医師の医療費特性 ― 信頼性と誤分類リスク
    Physician Cost Profiling ― Reliability and Risk of Misclassification

    一部の保険会社は,患者がより費用のかからない医療を提供する医師を選択するようインセンティブを設けている.この研究の結果から,医師の医療費特性を評価するための現行の手法は信頼性に欠けること,そしてこれらの医療費特性を用いてより低医療費の医師をみつけようとすると,多くの医師が誤って分類される可能性があることが示された.

CLINICAL PRACTICE

  • 脊椎骨髄炎
    Vertebral Osteomyelitis

    57 歳の男性が,前立腺生検の 2 週間後に,発熱,悪寒,新規の腰背部痛が発現したため受診した.体温は 39.7℃で,前立腺が腫大して圧痛を伴い,腰椎に圧痛を感じた.白血球数は 9,100/mm3 で,C 反応性蛋白値は 343 mg/L である.尿培養と血液培養で,広域スペクトル β‐ラクタマーゼを産生する,イミペネム感受性・多剤耐性大腸菌が認められた.この男性をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 高カルシウム血症と骨盤内腫瘤を呈する女性
    A Woman with Hypercalcemia and a Pelvic Mass

    22 歳の女性が高カルシウム血症と骨盤内腫瘤のため入院した.入院の 1 ヵ月前に腹痛が発現し,その後腹部膨満感,食欲不振,悪心,嘔吐,多飲,夜間頻尿が生じた.骨盤の CT 検査で混合性の右付属器腫瘤を認めた.血清カルシウム値は 17.2 mg/dL であった.診断手技が行われた.