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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
January 7, 2021
Vol. 384 No. 1
This Week in the JOURNAL
ORIGINAL ARTICLES
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急性 GVHD の予防に用いるシタグリプチン
Sitagliptin for Prevention of Acute GVHDシタグリプチンは,選択的ジペプチジルペプチダーゼ 4(DPP-4)阻害薬である.この試験では,同種造血幹細胞移植を施行する患者 36 例で,シタグリプチンがタクロリムス+シロリムスと併用された.急性移植片対宿主病(GVHD)の発症割合はわずか 5%であり,1 年非再発死亡割合は 0 であった.
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Covid-19 肺炎に対するトシリズマブ
Tocilizumab in Covid-19 Pneumonia無作為化試験で,Covid-19 肺炎で入院した患者(56.0%がヒスパニック系またはラテン系,14.9%が黒人,12.7%がアメリカインディアンまたはアラスカ先住民)にトシリズマブまたはプラセボが投与された.人工呼吸管理または死亡のリスクはトシリズマブ群で 12.0%,プラセボ群で 19.3%であった.トシリズマブにより生存は改善しなかった.
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再発性心膜炎に対するリロナセプト
Rilonacept in Recurrent Pericarditis再発性心膜炎患者に,インターロイキン-1 トラップであるリロナセプトの投与が行われた.効果が認められた患者が,リロナセプトの投与を継続して受ける群とプラセボの投与を受ける群に無作為に割り付けられた.リロナセプトにより,プラセボと比較して心膜炎の再発リスクが有意に低下した.
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短報:母子間の癌の経腟伝播
Brief Report: Vaginal Mother-to-Child Transmission of Cancer子宮頸癌を有する母親 2 例から出生した男児各 1 例で肺癌が発生した.児の癌と母親の癌は組織像が類似しており,発癌ドライバー変異が共通して存在していた.その他の,児の生殖細胞系列には受け継がれていない母親固有の遺伝子が児の癌で検出された.児の癌では Y 染色体が欠損していた.
CLINICAL PROBLEM-SOLVING
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二人分の呼吸
Breathing for Two未分化組織結合病を有する 29 歳の妊娠女性(5 妊 3 産)が,妊娠 26 週 3 日に,咳嗽と息切れを訴えて受診した.2 週間前に労作時呼吸困難が徐々に増悪していることに気付き,5 日前から乾性咳嗽,鼻閉,自覚的な熱感,倦怠感が続いているという.
SOUNDING BOARD
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悪性黒色腫の急増は現実?
Is the Melanoma Epidemic Real?皮膚の悪性黒色腫の発生は 40 年前の 6 倍であるが,死亡率は低いままである.紫外線曝露がもっとも強力な環境危険因子であるが,その影響の大きさは相対リスクで約 2 倍である.悪性黒色腫の増加に影響を及ぼしている因子としての可能性がとくに高いのは,色素性病変に対する生検実施の閾値と,形態学的変化を悪性黒色腫と判定する基準が変化していることである.
Videos, Images, and Multimedia
IMAGES IN CLINICAL MEDICINE
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新生児における腸蠕動不穏
Visible Intestinal Peristalsis in a Neonate在胎週数 28 週で出生した男児が胆汁性嘔吐と腹部膨満をきたし,胎便排泄が認められなかった.身体診察で認められた腸蠕動を動画で紹介する.
CLINICAL PRACTICE
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変形性膝関節症
Osteoarthritis of the Knee変形性膝関節症は高齢者における有病率が高い.治療には運動療法,体重管理,自己効力感および痛み対処スキルを高める訓練,薬物療法(通常非ステロイド抗炎症薬の外用または内服であり,内服の場合はプロトンポンプ阻害薬と併用されることが多い)などがある.
NEJM QUICK TAKE
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幹細胞移植後の急性 GVHD を予防する
Preventing Acute GVHD after Stem-Cell Transplantation急性移植片対宿主病(GVHD)は同種造血幹細胞移植後の主要な合併症であり,死亡の原因である.標準的な予防レジメンを行っても,移植後 100 日以内に患者の 34~51%が GVHD を発症する.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.
PERSPECTIVE AUDIO INTERVIEW
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遺伝学,ゲノミクス,医学
Genetics, Genomics, and MedicineCharles Rotimi が,ヒトの分子遺伝学とゲノミクスにおける進歩について論じている.