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This Week at NEJM.org
NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.
May 27, 2021
Vol. 384 No. 21
This Week in the JOURNAL
ORIGINAL ARTICLES
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心血管疾患に対するアスピリン投与
Aspirin Dosing in Cardiovascular Disease非盲検実用的試験で,心血管疾患を有する患者を,アスピリン 81 mg を連日投与する戦略と 325 mg を連日投与する戦略に無作為に割り付けた.325 mg 群では,相当な割合の患者が用量を 81 mg に切り替え,心血管イベントと大出血に 2 群間で有意差は認められなかった.
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人工関節周囲感染に対する抗菌薬治療
Antibiotic Therapy for Prosthetic Joint Infection人工関節の細菌感染に対する抗菌薬治療の適切な期間については議論されている.フランスの 28 施設で人工関節周囲感染の患者 410 例を対象に行われた非盲検無作為化比較非劣性試験で,6 週間の抗菌薬治療を 12 週間の抗菌薬治療と比較したところ,非劣性は示されなかった.
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アデノシンデアミナーゼ欠損症に対する遺伝子治療
Gene Therapy for Adenosine Deaminase Deficiency米国と英国の患者計 50 例が,ADA をもつ自己複製能欠損レンチウイルスで遺伝子導入された CD34 陽性細胞による造血幹細胞移植を受けた.24 ヵ月の時点で全例が生存しており,無イベント生存率は米国の患者で 96.7%,英国の患者で 95%であった.長期生着が得られなかった患者は 2 例のみであった.生存可能なウイルスや異常な増殖は認められなかった.
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急性心筋炎における新規マイクロ RNA
A Novel MicroRNA in Acute Myocarditis心筋炎または心筋梗塞のマウスの Th17 細胞のマイクロ RNA マイクロアレイ解析により,mmu-miR-721 が,心筋炎に特異的なマイクロ RNA であることを明らかにされた.hsa-miR-Chr8:96 と名付けられたそのヒト相同体は心筋炎の患者で検出され,心筋炎と心筋梗塞を鑑別できることが明らかになった.
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低出生体重児の出生直後からの「カンガルーマザーケア」
Immediate “Kangaroo Mother Care” of Low-Birth-Weight Infants出生体重 1.0~1.799 kg の児を対象とし,資源の限られた病院で行われた無作為化比較試験で,出生直後から「カンガルーマザーケア」(皮膚と皮膚の接触)を受ける群に割り付けられた児は,状態が安定するまで従来のケアを受け,その後カンガルーマザーケアを受ける群に割り付けられた児よりも死亡率が低かった.
REVIEW ARTICLES
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「良性」疾患における体細胞変異
Somatic Mutations in “Benign” DiseaseDNA 変異はヒトの一生を通じてほぼすべての組織で起こり,組織ごとに内因性因子,外因性因子によってさまざまな速度で蓄積する.変異クローンが競争優位性をもたらす特性を獲得した場合,クローン性拡大が出現する可能性がある.そのような変化は機能に影響を及ぼし,疾患を引き起こす可能性がある.
CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
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腹痛を呈し大動脈拡張を認める女性
A Woman with Abdominal Pain and Aortic Dilatation注射薬物の使用歴がある 37 歳の女性が,3 週間続く腹痛で入院した.CT 血管造影で,腎動脈下の腹部大動脈に動脈瘤様拡張(大動脈径 3.9 cm)が認められた.管理法が決定された.
Videos, Images, and Multimedia
IMAGES IN CLINICAL MEDICINE
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孤立した冠動脈
Isolated Coronary Artery64 歳の女性が,安静時と労作時の胸痛を訴えて受診した.冠動脈造影にて,孤立した冠動脈が認められた.動画で示す.
INTERACTIVE MEDICAL CASE
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高血圧による「ハートブレイク」
Hypertensive Heartbreakこの双方向性の特集記事では,左膝人工関節置換術の翌日に心停止を起こし,循環器集中治療室に移された 61 歳の男性の症例を紹介する.NEJM.org でご自身の診断・治療技術を試してください.
NEJM QUICK TAKE
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アスピリンの連日服用と心血管リスク
Daily Aspirin and Cardiovascular Risk動脈硬化性心血管疾患の患者では,有害な健康転帰のリスクを低減するためにアスピリンが推奨されている.しかし,観察研究や臨床試験データの事後解析から得られた知見は,推奨用量に関して一致しておらず,副作用の問題は未解決である.新しい研究知見が短い動画にまとめられている.
PERSPECTIVE AUDIO INTERVIEW
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「法疫学」を模索する
Exploring Legal EpidemiologyScott Burris が,Covid-19 に関する法律など,法律が健康に及ぼす影響を研究することの重要性について論じている.