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April 11, 2002 Vol. 346 No. 15

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サイトメガロウイルス網膜炎に対する導入療法としてのバルガンシクロビルに関する比較対照試験
A Controlled Trial of Valganciclovir as Induction Therapy for Cytomegalovirus Retinitis

D.F. MARTIN AND OTHERS

背景

バルガンシクロビルは,速やかに加水分解されガンシクロビルになる経口投与プロドラッグである.われわれは,後天性免疫不全症候群(AIDS)患者 160 例において新たに診断されたサイトメガロウイルス網膜炎に対する導入療法としての経口バルガンシクロビルの効果を,静脈内ガンシクロビルの効果と比較した.

方 法

主要エンドポイントは,治療開始後 4 週間における写真により決定されたサイトメガロウイルス網膜炎の進行であった.副次的エンドポイントには,あらかじめ決めた導入療法に対する有効な反応と,サイトメガロウイルス網膜炎進行までの時間を含めた.4 週間後,全患者に維持療法としてバルガンシクロビルを投与した.

結 果

それぞれ患者 80 例を,各治療群に無作為に割付けた.評価できた患者のうち,静脈内ガンシクロビルに割付けた 70 例中 7 例(10.0%)および経口バルガンシクロビルに割付けた 71 例中 7 例(9.9%)は,はじめの 4 週間にサイトメガロウイルス網膜炎が進行した(割合の差,0.1%ポイント;95%信頼区間,-9.7~10.0).静脈内ガンシクロビルに割付けた 61 例中 47 例(77.0%)およびバルガンシクロビルに割付けた 64 例中 46 例(71.9%)は,導入療法に対する有効な反応を示した(割合の差,5.2%ポイント;95%信頼区間,-20.4~10.1).網膜炎進行までの時間の中央値は,静脈内ガンシクロビルに割付けた群で 125 日,経口バルガンシクロビルに割付けた群では 160 日であった.ガンシクロビルの投与量・間隔ごとの曲線下面積の平均値は,導入用量と維持用量両者でほぼ同じであった.有害事象の頻度と重症度は,2 つの治療群でほぼ同じであった.

結 論

経口投与バルガンシクロビルは,導入療法として静脈内ガンシクロビルと同程度の効果をもつようであり,AIDS 患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎の長期管理にとって簡便で効果的である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1119 - 26. )