喘息における気道平滑筋への肥満細胞浸潤
Mast-Cell Infiltration of Airway Smooth Muscle in Asthma
C.E. BRIGHTLING AND OTHERS
喘息と好酸球性気管支炎は,下気道粘膜下組織の類似した炎症性浸潤が特徴である.しかし,好酸球性気管支炎は喘息と異なり,可変性の気流閉塞や気道過剰応答が認められない.われわれは,これら 2 つの疾患では気道平滑筋内の肥満細胞の微細局在が異なるという仮説を検証した.
2 施設で募集した,喘息患者 17 例,好酸球性気管支炎患者 13 例,健常対照者 11 例の気管支生検標本の免疫組織化学的解析を実施した.
両疾患群の粘膜下組織の好酸球増加および基底膜と網状層の肥厚化は同程度であった.それに対して,喘息患者の気道平滑筋束のトリプターゼ陽性肥満細胞数(中央値,平滑筋 1 mm2当り肥満細胞 5.1 個[範囲 0~33.3])は,好酸球性気管支炎患者(中央値,1 mm2当り肥満細胞 0 個[範囲 0~4.8])ならびに健常対照者(中央値,1 mm2当り肥満細胞 0 個[範囲 0~6.4])に比べて顕著に多かった(3 群の比較で P<0.001).T 細胞と好酸球は,いずれの群の気道平滑筋にも通常,認められなかった.
気道平滑筋への肥満細胞の浸潤が,喘息で認められる気道機能障害に関連している.