心血管磁気共鳴画像法により検出される心症候群 X における心内膜下の灌流異常
Abnormal Subendocardial Perfusion in Cardiac Syndrome X Detected by Cardiovascular Magnetic Resonance Imaging
J.R. PANTING AND OTHERS
これまでの研究では,心症候群 X(典型的な狭心症,運動負荷試験の結果異常および冠動脈の正常を特徴とする症候群)の胸痛が心筋虚血によるものであるかどうかは明らかになっていない.磁気共鳴法はより高い解像度を有するため,より感度が高いかもしれない.
われわれは,症候群 X 患者 20 例と適合対照被験者 10 例に対し,安静時およびアデノシン注入時に心筋灌流心血管磁気共鳴画像法を行った.心筋灌流指数と心筋灌流予備指数(安静時の心筋灌流指数に対するストレス時の心筋灌流指数の比と定義)を導くため,心筋シグナル増加の正規化上向き勾配を用いて定量的灌流分析を行った.
対照群では,アデノシン投与時の両心筋層で心筋灌流指数が上昇した(心内膜下では平均[±SD]0.12±0.03~0.16±0.03[P=0.02],心外膜下では平均[±SD]0.11±0.02~0.17±0.05[P=0.002]).一方,症候群 X 患者では,心内膜下では心筋灌流指数は有意には変化しなかったが(0.13±0.02 対 0.14±0.03,P=0.11;対照群と比較した場合 P= 0.09),心外膜下では上昇した(0.11±0.02~0.20±0.04,P<0.001;対照群との比較では P=0.11).アデノシンは,症候群 X 患者の 95%と対照被験者の 40%に胸痛を誘発した(P<0.001).
症候群 X の患者では,アデノシンの静脈内投与中に,心血管磁気共鳴画像が心内膜下低灌流を示しており,これが激しい胸痛と関連する.これらのデータは,胸痛が虚血によるものかもしれないという概念を裏付けている.