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June 27, 2002 Vol. 346 No. 26

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HIV 感染の初期治療としてのロピナビル–リトナビルとネルフィナビルとの比較
Lopinavir–Ritonavir versus Nelfinavir for the Initial Treatment of HIV Infection

S. WALMSLEY AND OTHERS

背景

ロピナビルは,新規開発されたヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼ阻害剤で,リトナビルと合剤にした場合,血漿中の平均最低ロピナビル濃度が野生型 HIV の複製を 50%阻害するのに必要な量の少なくとも 75 倍高くなる.

方 法

二重盲検試験を実施し,14 日を超えて抗レトロウイルス療法を受けたことのない HIV 感染成人 653 例を,ロピナビル–リトナビル(ロピナビル 400 mg+リトナビル 100 mg を 1 日 2 回)とネルフィナビルのプラセボ併用投与群,またはネルフィナビル(750 mg を 1 日 3 回)とロピナビル–リトナビルのプラセボ併用投与群に無作為に割付けた.全患者に,非盲検的にスタブジンとラミブジンも投与した.有効性の主要エンドポイントは,24 週の時点で血漿 1 mL 当りの HIV RNA の存在が 400 コピー未満であることと,48 週目までにウイルス学的反応が消失するまでの時間であった.

結 果

48 週の時点で,ネルフィナビル群よりロピナビル–リトナビル群において,HIV RNA が 400 コピー/mL 未満の患者の割合(75% 対 63%,P<0.001)および 50 コピー/mL 未満の割合(67% 対 52%,P<0.001)が高かった.ウイルス学的反応の消失までの時間は,ネルフィナビル群よりもロピナビル–リトナビル群において長かった(ハザード比 2.0;95%信頼区間 1.5~2.7;P<0.001).48 週までウイルス学的反応が持続した患者の割合は,ロピナビル–リトナビル群では 84%,ネルフィナビル群では 66%と推定された.両レジメンはともに忍容性が高く,試験薬に関連した中止率は,ロピナビル–リトナビル群で 3.4%,ネルフィナビル群で 3.7%であった.24 週から 48 週までのいずれかの時点で HIV RNA が 400 コピー/mL を超えた患者では,HIV プロテアーゼにおける耐性変異がウイルス分離株に認められたのは,ネルフィナビル投与患者 76 例中 25 例(33%)で,ロピナビル–リトナビル投与患者 37 例では皆無であった(P<0.001).

結 論

HIV 感染成人の初期治療として,ロピナビル–リトナビルを含む併用レジメンは忍容性が高く,ネルフィナビルを含むレジメンよりも抗ウイルス活性が優れている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 2039 - 46. )