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January 10, 2002 Vol. 346 No. 2

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進行性骨異形成における父系遺伝による GNAS1 遺伝子の不活性化突然変異
Paternally Inherited Inactivating Mutations of the GNAS1 Gene in Progressive Osseous Heteroplasia

E.M. SHORE AND OTHERS

背景

進行性骨異形成(POH)は常染色体優性遺伝性疾患であり,その特徴は,小児期の広範囲な皮膚の骨化とそれに続く骨格筋および深部結合組織における,機能障害につながる広範な異所性骨化である.オールブライト遺伝性骨異形成(AHO)における軽度の異所性骨化に関するいくつかの報告,および,異常に広範囲にわたる異所性骨化が認められた AHO 患者 2 例に関する最近の報告から,これら 2 つの疾患に共通する遺伝的基盤があることが示唆された.AHO は,GNAS1 遺伝子のヘテロ接合型不活性化突然変異が原因であり,この突然変異により,アデニル酸シクラーゼの刺激 G 蛋白質のアルファサブユニット(Gsα)の表現または機能が低下する.

方 法

散発性または家族性 POH 患者 18 例の GNAS1 エキソンおよびエキソン–イントロン境界を,ポリメラーゼ連鎖反応法により増幅し,GNAS1 遺伝子の突然変異により POH が発症するという仮説を検証した.

結 果

POH 発端者 18 例中 13 例に,GNAS1 遺伝子のヘテロ接合型不活性化突然変異が確認された.POH での欠損対立遺伝子が,父親からのみ遺伝しており,GNAS1 に関するインプリンティングのモデルに一致する結果であった.同じ突然変異が,POH と AHO のいずれかを発現させうるという直接の証拠が,1 つの家族で認められた.この例では,表現型が,突然変異対立遺伝子の親からの由来と相関していた.

結 論

父系遺伝の GNAS1 遺伝子不活性化突然変異が POH の原因である.この知見は,GNAS1 遺伝子のハプロ不全性により生じる表現型の範囲を広げ,インプリンティングが GNAS1 遺伝子表現の調節機構であるという証拠を提供し,Gsαが非骨結合組織における骨形成への分化の重要な負の制御因子であることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 99 - 106. )