The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 31, 2002 Vol. 347 No. 18

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心不全の発生率と生存率の長期動向
Long-Term Trends in the Incidence of and Survival with Heart Failure

D. LEVY AND OTHERS

背景

心不全は重大な公衆衛生問題である.地域社会における心不全の発生率と発症後の生存率に関する長期動向は明らかにされていない.

方 法

フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)の被験者を対象に,統計モデルを用いて心不全発生率の時間的動向を評価し,Cox 比例ハザード回帰により心不全発症後の生存率を評価した.心不全の症例は,発症した日に従い,1950~69 年(223 例),1970~79 年(222 例),1980~89 年(307 例),1990~99 年(323 例)に分類した.各期間における,30 日,1 年および 5 年の年齢補正死亡率も算出した.

結 果

心不全は,1,075 例で発症した(51%が女性).1950~69 年の心不全発生率と比較して,その後の 3 つの期間における発生率は,男性では実質的に変化しなかったが,女性では 31~40%低下した(1990~99 年の率比 0.69;95%信頼区間 0.51 ~ 0.93).男性では,30 日,1 年および 5 年の年齢補正死亡率は,1950~69 年のそれぞれ 12%,30%,70%から,1990~99 年ではそれぞれ,11%,28%,59%に低下した.女性でも同様に,1950~69 年のそれぞれ,18%,28%,57%から,1990~99 年ではそれぞれ,10%,24%,45%に低下した.全体的に,心不全発症後の生存率には,10 年当り 12%の改善が認められた(男性では P=0.01,女性では P=0.02).

結 論

過去 50 年間,心不全の発生率は,女性では低下したが男性では低下しなかった.一方,心不全発症後の生存率は男女共に改善された.これらの動向に寄与している要因をさらに解明する必要がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 1397 - 402. )