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July 18, 2002 Vol. 347 No. 3

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B 型肝炎 e 抗原と肝細胞癌のリスク
Hepatitis B e Antigen and the Risk of Hepatocellular Carcinoma

H.-I. YANG AND OTHERS

背景

血清中に B 型肝炎 e 抗原(HBeAg)が存在することは,肝細胞内での活発なウイルス複製を示している.それゆえ HBeAg は,B 型肝炎ウイルス DNA の存在を示す代替マーカーである.B 型肝炎表面抗原(HBsAg)や HBeAg が陽性であることと肝細胞癌の発生とのあいだの関連を決定するために前向き研究を実施した.

方 法

1991 年と 1992 年に,肝細胞癌の兆候がない男性 11,893 例(年齢幅 30~65 歳)を台湾の 7 郡から組み入れた.組み入れ時に採取した血清標本はラジオイムノアッセイにより HBsAg と HBeAg を検査した.肝細胞癌の診断は,台湾のコンピュータによる「全国がん登録」と診断書のデータを連係して確認した.HBsAg 単独陽性,あるいは両者が陽性の男性における肝細胞癌の相対リスクを決定するため,HBsAg と HBeAg とがともに陰性の男性を対照に多重回帰分析を行った.

結 果

92,359 人-年の追跡期間中,111 例の肝細胞癌が新たに診断された.肝細胞癌の発生率は,HBsAg と HBeAg が共に陽性の男性において 10 万人-年当り 1,169 例,HBsAg 単独陽性男性において 10 万人-年当り 324 例,両者が共に陰性の男性においては 10 万人-年当り 39 例であった.年齢,性別,C 型肝炎ウイルスに対する抗体の有無,喫煙状態,飲酒の有無で補正したところ,HBsAg と HBeAg 両抗原陰性男性と比較した肝細胞癌の相対リスクは,HBsAg 単独陽性男性では 9.6(95%信頼区間 6.0~15.2),HBsAg と HBeAg が共に陽性の男性では 60.2(95%信頼区間 35.5~102.1)であった.

結 論

HBeAg が陽性であることは,肝細胞癌のリスク上昇と関連している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 347 : 168 - 74. )