The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 10, 2008 Vol. 358 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

タンザニア人女性の HIV 感染発生率に対する単純ヘルペス抑制の効果
Effect of Herpes Simplex Suppression on Incidence of HIV among Women in Tanzania

D. Watson-Jones and Others

背景

単純ヘルペスウイルス 2 型(HSV-2)の感染は,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染リスクの上昇と関連している.この研究では,HSV-2 抑制療法が HIV 感染のリスクを減少させるという仮説について検討した.

方 法

タンザニア北西部の娯楽施設に勤務する年齢 16~35 歳の女性従業員を対象に面接調査を行い,HIV と HSV-2 に対する血清検査を行った.HIV 血清陰性および HSV-2 血清陽性の女性従業員を,アシクロビル(400 mg 1 日 2 回)による抑制療法の無作為化二重盲検プラセボ対照試験に登録した.参加者は 3 ヵ月ごとに移動診療所を受診し,試験登録日に応じて 12~30 ヵ月の追跡調査を受けた.主要転帰評価項目は HIV 感染の発生率とした.修正 intention-to-treat 解析を用い,妊娠した参加者のデータは打切りとした.治療遵守率は,各来院時に錠剤数を計数して推定した.

結 果

計 821 例が,アシクロビル群(400 例)とプラセボ群(421 例)に割り付けられ,679 例(83%)が追跡調査を完了した.平均追跡期間はアシクロビル群で 1.52 年,プラセボ群で 1.62 年であった.HIV 感染発生率は 100 人年あたり 4.27 で(アシクロビル群 27 例,プラセボ群 28 例),アシクロビルには HIV 感染発生率に対して全体的な効果はなかった(アシクロビル群の率比 1.08,95%信頼区間 0.64~1.83).治療遵守率の推定中央値は 90%であった.6 ヵ月,12 ヵ月,24 ヵ月の時点で,2 群の参加者に同等の割合で性器 HSV が検出された.アシクロビルによる治療に起因する重篤な有害事象はみられなかった.

結 論

これらのデータから,HSV 抑制療法に用いられるアシクロビル(400 mg 1 日 2 回)により HIV 感染の発生率が低下するというエビデンスは確認されなかった.(Current Controlled Trials 番号:ISRCTN35385041)

本論文(10.1056/NEJMoa0800260)は,2008 年 3 月 12 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 358 : 1560 - 71. )