April 10, 2008 Vol. 358 No. 15
高リスク患者における頸動脈ステント留置術と頸動脈内膜剝離術の長期成績の比較
Long-Term Results of Carotid Stenting versus Endarterectomy in High-Risk Patients
H.S. Gurm and Others
われわれが以前報告した無作為化試験では,塞栓防護デバイスを使用した頸動脈ステント留置術は,30 日および 1 年の時点で,頸動脈疾患の治療として頸動脈内膜剝離術に劣らないことが示された.今回は 3 年間の結果を報告する.
症候性で血管径が 50%以上狭窄しているか,無症候性で血管径が 80%以上狭窄している頸動脈狭窄を呈し,頸動脈内膜剝離術による合併症のリスクが高い患者 334 例を対象に,塞栓防護デバイスを用いた頸動脈ステント留置術と頸動脈内膜剝離術を比較・検討した.事前に規定した 3 年の時点での主要な副次的エンドポイントは,術後 30 日以内の死亡・脳卒中・心筋梗塞,および 31~1,080 日(3 年)のあいだの死亡・同側の脳卒中の複合エンドポイントとした.
3 年の時点で,260 例(77.8%)のデータが得られた.これにはステント留置群の 85.6%と内膜剝離術群の 70.1%が含まれた.事前に規定した主要な副次的エンドポイントは,ステント留置術群の 41 例(累積発生率 24.6%,Kaplan–Meier 推定値 26.2%)と,内膜剝離術群の 45 例(累積発生率 26.9%,Kaplan–Meier 推定値 30.3%)で発生した(ステント留置術群の累積発生率の絶対差 -2.3%,95%信頼区間 -11.8~7.0).脳卒中は 2 群とも各 15 例で発生した.うちステント留置術群の 11 例と内膜剝離術群の 9 例は同側の脳卒中であった.
重度の頸動脈狭窄を有し,手術のリスクが高い患者を対象に行った今回の試験では,塞栓防護デバイスを使用した頸動脈ステント留置術を受けた患者と内膜剝離術を受けた患者とで,長期転帰に有意差は示されなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00231270)