September 25, 2008 Vol. 359 No. 13
急性心筋梗塞に対する薬剤溶出性ステントとベアメタルステントの比較
Drug-Eluting or Bare-Metal Stents for Acute Myocardial Infarction
L. Mauri and Others
急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において,薬剤溶出性ステントとベアメタルステントを比較したこれまでの研究は,規模と期間が限られている.
2003 年 4 月 1 日~2004 年 9 月 30 日のあいだに,マサチューセッツ州のすべての非連邦救急病院において急性心筋梗塞に対しステントを用いた PCI を受けた全成人患者を,PCI 施術に関して州で義務付けられたデータベースを用いて同定した.患者を,すべての急性心筋梗塞患者群,ST 上昇型急性心筋梗塞患者群,非 ST 上昇型急性心筋梗塞患者群の 3 群に分け,傾向スコアマッチングを行った.傾向スコア解析は,指標処置時に収集した症状・手技・病院・保険に関する情報に基づいて行った.薬剤溶出性ステント使用患者とベアメタルステント使用患者における死亡リスクの差を,人口動態統計記録をもとに求めた.
計 7,217 例の患者が急性心筋梗塞に対する治療を受けた(薬剤溶出性ステント群 4,016 例,ベアメタルステント群 3,201 例).マッチドペア解析によると,リスク補正後の 2 年死亡率は,薬剤溶出性ステント群のほうがベアメタルステント群よりも低かった;すべての心筋梗塞患者群で 10.7% 対 12.8%(P=0.02),ST 上昇型心筋梗塞患者群で 8.5% 対 11.6%(P=0.008),非 ST 上昇型心筋梗塞患者群で 12.8% 対 15.6%(P=0.04).心筋梗塞のリスク補正後の 2 年再発率は,薬剤溶出性ステントによる治療を受けた非 ST 上昇型心筋梗塞患者において低下し,血行再建術再施行率は,全群ともベアメタルステント使用例より薬剤溶出性ステント使用例で有意に低下した.
急性心筋梗塞で受診した患者において,薬剤溶出性ステントによる治療はベアメタルステントによる治療と比較して,2 年死亡率および血行再建術再施行の必要性の低下と関連している.