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September 25, 2008 Vol. 359 No. 13

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大動脈弁狭窄症に対するシンバスタチン+エゼチミブを用いた積極的脂質低下療法
Intensive Lipid Lowering with Simvastatin and Ezetimibe in Aortic Stenosis

A.B. Rossebo and Others

背景

高脂血症は大動脈弁狭窄症の危険因子であることが示唆されているが,脂質低下療法に関する試験結果には矛盾がある.

方 法

軽度から中等度の無症候性大動脈弁狭窄症患者 1,873 例を対象に,無作為化二重盲検試験を実施した.患者は,シンバスタチン 40 mg+エゼチミブ 10 mg,またはプラセボの連日投与を受けた.主要転帰は,心血管系の原因による死亡,大動脈弁置換術,非致死的心筋梗塞,不安定狭心症による入院,心不全,冠動脈バイパス術,経皮的冠動脈インターベンション,非出血性脳卒中など主要心血管イベントの複合とした.副次的転帰は,大動脈弁狭窄症に関連したイベントと,虚血性心血管イベントとした.

結 果

中央値 52.2 ヵ月の追跡期間中に主要転帰が発生したのは,シンバスタチン+エゼチミブ群で 333 例(35.3%),プラセボ群で 355 例(38.2%)であった(シンバスタチン+エゼチミブ群のハザード比 0.96,95%信頼区間 [CI] 0.83~1.12,P=0.59).大動脈弁置換術が施行されたのは,シンバスタチン+エゼチミブ群で 267 例(28.3%),プラセボ群で 278 例(29.9%)であった(ハザード比 1.00,95% CI 0.84~1.18,P=0.97).虚血性心血管イベントが発生した患者は,シンバスタチン+エゼチミブ群(148 例)のほうがプラセボ群(187 例)よりも少なく(ハザード比 0.78,95% CI 0.63~0.97,P=0.02),これは主として,シンバスタチン+エゼチミブ群のほうが冠動脈バイパス術を受けた患者数が少ないためであった.癌の発生数は,シンバスタチン+エゼチミブ群のほうが多かった(105 例 対 70 例,P=0.01).

結 論

大動脈弁狭窄症患者において,シンバスタチン+エゼチミブを投与しても,大動脈弁イベントと虚血性イベントを組み合わせた複合転帰は減少しなかった.このような脂質低下療法により虚血性心血管イベントの発生率は低下したが,大動脈弁狭窄症に関連したイベントの発生率は低下しなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00092677)

本論文(10.1056/NEJMoa0804602)は,2008 年 9 月 2 日に www.nejm.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1343 - 56. )