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October 23, 2008 Vol. 359 No. 17

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心不全患者の心房細動に対する肺静脈隔離術
Pulmonary-Vein Isolation for Atrial Fibrillation in Patients with Heart Failure

M.N. Khan and Others

背景

心不全患者における心房細動の治療法として,肺静脈隔離術が増加している.

方 法

この前向き多施設共同臨床試験では,症候性で薬物抵抗性の心房細動と,ニューヨーク心臓協会(NYHA)の心機能分類で II 度または III 度の心不全を有する,駆出率 40%以下の患者を,肺静脈隔離術を行う群と,房室結節アブレーション+両室ペーシングを行う群に無作為に割り付けた.全例がミネソタ心不全 QOL 質問票(Minnesota Living with Heart Failure questionnaire;スコアは 0~105 で,高いほど QOL が不良であることを示す)に回答し,心エコー検査と 6 分間歩行試験を受けた(複合主要エンドポイント).6 ヵ月間,患者は心房細動の症候性と無症候性のエピソードの両方についてモニタリングを受けた.

結 果

全体で,41 例が肺静脈隔離術を受け,40 例が房室結節アブレーション+両室ペーシングを受けた.6 ヵ月の時点で追跡調査の脱落者はいなかった.複合主要エンドポイントについては肺静脈隔離術群のほうが良好で,6 ヵ月の時点の質問票スコアが改善し(60,これに対し房室結節アブレーション+両室ペーシング群 82,P<0.001),6 分間歩行距離が延長し(340 m 対 297 m,P<0.001),駆出率が高かった(35% 対 28%,P<0.001).肺静脈隔離術群では,抗不整脈薬の投与を受けた患者の 88%,投与を受けなかった患者の 71%で,6 ヵ月の時点で心房細動は起きていなかった.肺静脈隔離術群では,肺静脈狭窄 2 例,心膜液貯留 1 例,肺水腫 1 例が発生した.房室結節アブレーション+両室ペーシング群では,リード脱落 1 例,気胸 1 例が発生した.

結 論

薬物抵抗性の心房細動を起こした心不全患者に対し,肺静脈隔離術は,房室結節アブレーション+両室ペーシングと比較してより優れていた.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00599976)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1778 - 85. )