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October 23, 2008 Vol. 359 No. 17

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早期多発性硬化症に対するアレムツズマブとインターフェロン β-1a の比較
Alemtuzumab vs. Interferon Beta-1a in Early Multiple Sclerosis

The CAMMS223 Trial Investigators

背景

リンパ球や単球上の CD52 を標的とするヒト化モノクローナル抗体であるアレムツズマブ(alemtuzumab)は,早期多発性硬化症に対する有効な治療薬である可能性がある.

方 法

この無作為化盲検第 2 相試験では,治療歴のない早期再発寛解型多発性硬化症の患者を対象とし,総合障害度(Expanded Disability Status Scale)スコアが 3.0 点以下で,罹患期間が 3 年以下の 334 例を,36 ヵ月にわたりインターフェロン β-1a の皮下投与(44 μg/回)を週 3 回行う群と,アレムツズマブの静脈内投与(12 mg/日または 24 mg/日)を年 1 回行う群に割り付けた.アレムツズマブ療法は,3 例で免疫性血小板減少性紫斑病が発症したため(うち 1 例は死亡),2005 年 9 月に中断された.インターフェロン β-1a による治療は試験期間を通じて継続された.

結 果

アレムツズマブ群では,インターフェロン β-1a 群と比較して,障害の持続的集積の割合(9.0% 対 26.2%,ハザード比 0.29,95%信頼区間 [CI] 0.16~0.54,P<0.001)と,年間再発率(0.10 対 0.36,ハザード比 0.26,95% CI 0.16~0.41,P<0.001)が有意に低下した.10 点満点の障害スコアの平均は,アレムツズマブ群で 0.39 改善し,インターフェロン β-1a 群で 0.38 悪化した(P<0.001).アレムツズマブ群では,T2 強調 MRI 上の病変量は,インターフェロン β-1a 群と比べて減少した(P=0.005).12~36 ヵ月のあいだに,T1 強調 MRI 上の脳の容積は,アレムツズマブ群で増加したが,インターフェロン β-1a 群で減少した(P=0.02).有害事象の頻度は,アレムツズマブ群のほうがインターフェロン β-1a 群よりも高く,自己免疫疾患(甲状腺疾患 [23% 対 3%],免疫性血小板減少性紫斑病 [3% 対 1%]),感染症(66% 対 47%)などがみられた.アレムツズマブの 12 mg 投与と 24 mg 投与のあいだには,転帰に関する有意差はみられなかった.

結 論

早期再発寛解型多発性硬化症患者に対し,アレムツズマブはインターフェロン β-1a よりも有効であるが,自己免疫疾患と関連しており,もっとも重症な例では免疫性血小板減少性紫斑病がみられた.この試験には,頻度の低い有害事象に対する検出力はなかった.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00050778)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2008; 359 : 1786 - 801. )