March 31, 2011 Vol. 364 No. 13
治療歴のある慢性 C 型肝炎ウイルス遺伝子型 1 型に対するボセプレビル
Boceprevir for Previously Treated Chronic HCV Genotype 1 Infection
R.A. DeFronzo and Others
慢性の C 型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型 1 型感染で,ペグインターフェロン–リバビリンによる治療に持続性著効を示さない患者では,再治療後の転帰が不十分である.HCV 非構造 3(NS3)活性部位に結合するプロテアーゼ阻害薬ボセプレビル(boceprevir)が追加療法となることが示唆されている.
慢性 HCV 遺伝子型 1 型感染患者の再治療におけるボセプレビルとペグインターフェロン–リバビリン併用の効果を評価するために,患者を 3 群のいずれかに(1:2:2 の比で)無作為に割り付けた.全群でペグインターフェロンα-2b とリバビリンを 4 週間投与した(導入期間).続いて,第 1 群(対照群)ではプラセボ+ペグインターフェロン–リバビリンを 44 週間投与した.第 2 群ではボセプレビル+ペグインターフェロン–リバビリンを 32 週間投与し,8 週の時点で HCV RNA が検出された患者には,プラセボ+ペグインターフェロン–リバビリンを追加で 12 週間投与した.第 3 群ではボセプレビル+ペグインターフェロン–リバビリンを 44 週間投与した.
403 例に治療を行った.持続性ウイルス学的著効率は,ボセプレビルを投与した 2 群(第 2 群 59%,第 3 群 66%)で,対照群(21%)より有意に高かった(P<0.001).8 週の時点で HCV RNA が検出されなかった患者の持続性ウイルス学的著効率は,32 週間の 3 剤併用療法後で 86%,44 週間の 3 剤併用療法後で 88%であった.治療 4 週での HCV RNA の低下が 1 log10 IU/mL 未満であった患者 102 例の持続性ウイルス学的著効率は,第 1 群 0%,第 2 群 33%,第 3 群 34%であった.ボセプレビルを投与した 2 群で,対照群に比べて貧血の頻度が有意に高く,ボセプレビル投与患者の 41~46%と対照患者の 21%にエリスロポエチンが投与された.
治療歴のある慢性 HCV 遺伝子型 1 型感染患者において,ペグインターフェロン–リバビリン+ボセプレビル併用により,ペグインターフェロン–リバビリン単独に比べて持続性ウイルス学的著効率が有意に上昇した.(Schering-Plough 社 [現 Merck 社] から研究助成を受けた.HCV RESPOND-2 ClinicalTrials.gov 番号:NCT00708500)