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April 14, 2011 Vol. 364 No. 15

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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染予防のための退役軍人局イニシアチブ
Veterans Affairs Initiative to Prevent Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus

R. Jain and Others

背景

退役軍人病院では,医療関連メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)感染への懸念が高まっている.

方 法

医療関連 MRSA 感染を減少させるための取組みとして,2007 年に全米の急性期退役軍人病院で「MRSA バンドル」プログラムが導入された.プログラムの内容は,鼻腔サンプルによる MRSA の普遍的サーベイランス,MRSA の保菌患者・感染患者を対象とした接触感染予防策,手指衛生,ならびに患者と接触した全員が感染制御の責任をもつような院内文化の改革であった.毎月,各施設の担当者がサーベイランス業務の遵守,MRSA の保菌・感染の有病率,医療関連 MRSA の伝播・感染に関する情報を,中央データベースの集積データに入力した.MRSA バンドルが医療関連 MRSA 感染に及ぼす影響を評価した.

結 果

プログラムが徹底された 2007 年 10 月から 2010 年 6 月までに,集中治療室(ICU)またはそれ以外の治療室への入室,あるいは ICU またはそれ以外の治療室からの転室・退室は 1,934,598 件(ICU 365,139 件,非 ICU 1,569,459 件),8,318,675 患者・日(ICU 1,312,840 患者・日,非 ICU 7,005,835 患者・日)であった.この期間中に,入院時にスクリーニングを受けた患者の割合は 82%から 96%に上昇し,転院・退院時にスクリーニングを受けた患者の割合は 72%から 93%に上昇した.入院時の MRSA の保菌・感染の平均(±SD)有病率は 13.6±3.7%であった.ICU における医療関連 MRSA 感染の発生率は 2007 年 10 月以前の 2 年間は変化しなかったが(傾向性の P=0.50),プログラムの導入に伴い,2007 年 10 月の 1,000 患者・日あたり 1.64 から,2010 年 6 月には同 0.62 へと,62%減少した(傾向性の P<0.001).同期間中に非 ICU における医療関連 MRSA 感染の発生率は,1,000 患者・日あたり 0.47 から 0.26 へと,45%減少した(傾向性の P<0.001).

結 論

大規模医療システムにおいて,普遍的サーベイランス,接触感染予防策,手指衛生,および院内文化の改革から成るプログラムは,医療関連 MRSA の伝播と感染の減少に関連していた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 1419 - 30. )