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February 3, 2011 Vol. 364 No. 5

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リンパ節転移陰性乳癌における潜在性転移が生存に及ぼす影響
Effect of Occult Metastases on Survival in Node-Negative Breast Cancer

D.L. Weaver and Others

背景

後ろ向き解析や観察研究の解析から,乳癌患者における潜在性リンパ節転移は,再発や生存の重要な予後因子であることが示唆されている.センチネルリンパ節との関連に基づき,臨床転帰を前向きに検討した無作為化試験のデータはない.

方 法

乳癌の女性を,センチネルリンパ節生検+腋窩リンパ節郭清を行う群と,センチネルリンパ節生検のみを行う群のいずれかに無作為に割り付けた.病理学的にセンチネルリンパ節陰性の患者については,中央施設でセンチネルリンパ節のパラフィン包埋組織ブロックのさらに深部で潜在性転移を評価することとし,間隔を十分にとった 2 ヵ所で,サイトケラチンのルーチン染色と免疫組織化学染色の両方を行った.その所見は治療を行う医師に知らせず,臨床的な治療決定には用いられなかった.各参加施設での初回評価は,最大径が 2 mm を超える転移(macrometastases)をすべて検出できるようにデザインされた.

結 果

潜在性転移は,3,887 例のうち 15.9%(95%信頼区間 [CI] 14.7~17.1)で検出された.log-rank 検定により,潜在性転移が検出された患者群と検出されなかった患者群とのあいだで,全生存期間(P=0.03),無病生存期間(P=0.02),遠隔無病生存期間(P=0.04)に有意差が示された.対応する補正ハザード比は,死亡 1.40(95% CI 1.05~1.86),何らかの転帰イベント 1.31(95% CI 1.07~1.60),遠隔転移 1.30(95% CI 1.02~1.66)であった.5 年全生存率の Kaplan-Meier 推定値は,潜在性転移が検出された患者で 94.6%,検出されなかった患者で 95.8%であった.

結 論

潜在性転移は,初回検査でセンチネルリンパ節陰性であった患者における独立した予後因子であった.しかし,5 年時点での転帰の差は小さかった(1.2 パーセントポイント).これらのデータからは,初回検査で陰性であった乳癌患者のセンチネルリンパ節に,免疫組織化学的分析などの追加的な評価を行うことに,臨床上の有益性があることは示されない.(米国国立がん研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00003830)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2011; 364 : 412 - 21. )